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長時間旅行の疲れを軽減 「貧乏ゆすり」が意外に有効

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出張や旅行に出かけるときなど、新幹線や列車、飛行機などで長時間移動すると、疲れを感じる人は多いだろう。ただ座っているだけなのに、なぜ疲れてしまうのか。移動疲れを軽減するにはどんな対策が有効か。疲労研究の専門家、大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授で東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身さんに聞いた。

「ただ座っているだけ」の姿勢が、疲れを招く大きな要因

――新幹線や列車、飛行機などに乗って長時間移動すると、疲れを感じる人が多いようです。座席にただ座っているだけなのに、疲れてしまうのはなぜでしょう。

長時間の移動で疲れる原因にはさまざまな説がありますが、科学的に見て大きな要因といえるのは、移動中の「姿勢」と「環境」です。なかでも、移動による疲れの原因の6~7割は、姿勢に起因していると思います。先ほど「ただ座っているだけなのに、疲れてしまう」といわれましたが、実はその「ただ座っているだけ」の姿勢が、疲れを招いているのです。

――それはどういうことでしょう?

これまでの研究から、長時間にわたって座ったままの姿勢でいると、疲労を感じることが分かっています。その理由を説明する前に、疲れを感じるメカニズムを簡単にお話ししておきましょう。

まず、疲労は、脳内にある自律神経の中枢に負担がかかることで生じます。自律神経の中枢は、循環、呼吸、体温調節、緊張など生体の恒常性を保つ司令塔。この自律神経に負担がかかると、自律神経を構成している神経細胞が酸素を大量に消費します。その際に、活性酸素が発生して細胞をさびさせることで、自律神経がうまく機能しなくなり、一過性のパフォーマンスの低下が起こります。これが、疲労です。

細胞がさびつくと、酸化ストレスによる老廃物が生じ、この老廃物が誘因となって、疲労因子の「FF(ファティーグ・ファクター)」が作られます。FFが体内に増えることで、脳の眼窩前頭野(がんかぜんとうや)と呼ばれる部分が疲労感を自覚して、それ以上活動しないよう防御的に疲労感を高めます。そうすると、実際の疲労は脳で起こっていても、だるさなど体の疲れも感じるのです。

――なるほど、疲れのメカニズムは理解できました。ただそれが、長時間にわたって座り続けることと、どう関係してくるのでしょうか。

飛行機などの狭い座席に長時間、座ったままでいると、エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症)を発症しやすいことは、よく知られるようになっています。エコノミークラス症候群は、医学的には「深部静脈血栓塞栓症」といって、座り続けることで下肢の深部静脈(足の筋肉より内側にある太い血管)の血流が悪くなり、血の塊(血栓)ができる「深部静脈血栓症」と、静脈にできた血栓が血流に乗って肺に飛び、肺の動脈を詰まらせる(塞栓)「肺血栓塞栓症」の2つの病態を合わせたものです。

飛行機や新幹線、車での移動時やデスクワークなどでも、2時間以上座ったままの姿勢でいると、脚の付け根の股関節がほぼ直角に固定されて、静脈やリンパ流が圧迫されます。血流が悪いと循環を制御している自律神経に負担がかかります。実際、長時間座っていると腎臓の血流量が10%程度低下することもあります。腎臓の血流量が低下すると、腎臓で作られる尿の量も減り、血液中の老廃物の排せつが滞ります。先ほど疲れのメカニズムを説明しましたが、疲労因子のFFは、血液中にも増えるので、尿量が減って老廃物が排せつされにくくなると、疲労の大きな要因となるのです。

こまめに歩いて血流を改善、歩けないときは「貧乏ゆすり」を

――つまり、長時間座ったままで血流が悪くなることが、疲労につながるわけですね。では、どうすれば、血流の悪化を防げるでしょうか。

エコノミークラス症候群の予防法は、こまめに水分をとって、定期的にトイレに行くなどで立ち上がって歩くことといわれていますが、これがまさに、疲労の予防にもなります。歩いて、ふくらはぎなど脚の筋肉を動かすことで、血流を促すんですね。ですから、座席はできれば、すぐに立って歩ける通路側を選ぶといいでしょう。

奥まった窓側の座席だと、隣の人に気兼ねして、席を立つのを遠慮してしまいがちです。また、トイレに立つ回数を減らそうと、水分摂取も控えてしまう。すると、体内の水分が不足して、血液が粘り気のある状態になり、ますます血流が悪化してしまいます。それが、エコノミークラス症候群だけでなく、疲労を招く原因にもなります。

理想的には、のどが渇いたと感じる前にこまめに水分をとり、30分に一度は立ち上がって歩くようにすると、疲労はかなり軽減できるはずです。少なくとも、1時間に一度は歩いてほしいですね。距離はトイレに行く程度で構いません。

――通路側の座席が取れなかった場合はどうすればいいでしょう。

席を立って歩くようにするのが一番なのですが、窓側の座席で立ったり歩いたりしづらい場合などには、座ったままでかかとを上げて、足を小刻みに上下に動かす、いわゆる「貧乏ゆすり」を意識的にするのが有効です。

――「貧乏ゆすり」ですか。一般的に貧乏ゆすりは無意識に出てしまうもので、マナー的には良くないものというイメージがあります。

そうですね。ただ、貧乏ゆすりは、健康面では良い効果があることが分かってきているんですよ。例えば、英国で行われた調査では、デスクワークなどで1日7時間以上座っている人は、5時間以下の人に比べて、死亡リスクが高まることが分かっています。しかし、1日7時間以上座っている人でも、貧乏ゆすりを頻繁にしている人では死亡リスクは高まらず、さらに、座っている時間が1日5時間以上6時間未満の人では、貧乏ゆすりを頻繁に行うことで、死亡リスクが低下することも分かりました[注1]

この結果についてはさらに詳しい研究が必要とされていますが、意識的に貧乏ゆすりをすることで、血流を改善する効果はあるといえるでしょう。歩くときには、足首の関節を引き上げる脛(すね)の筋肉や、心臓から送られてきた血液を戻すポンプの役割を果たしているふくらはぎの筋肉が、弛緩(しかん)と収縮を繰り返しています。貧乏ゆすりをすることで、この歩くときと同じような動作をすることになるんですね。ただ、確かにマナー的には気になってしまう人も多いと思いますので、席を立つのが難しい場合に限り、隣の人が眠ってしまったときなど、周囲に配慮しながら行うといいでしょう。

――エコノミークラス症候群の予防法が、疲労の予防にもなるということでしたが、エコノミークラス症候群の予防で勧められている、弾性(着圧)ストッキングの着用も有効でしょうか。

足を締め付ける弾性ストッキングは、むくみの予防には効果的です。ただし、締め付けが強すぎて、逆に血流を悪くするものもあるので、私はお勧めしません。疲労の予防には、足を温めて血流を促すレッグウオーマーなどの方が適しています。移動時の服装でも、生地が硬いジーンズなどは避けて、足を締め付けない、伸縮性のあるストレッチ素材のものを選ぶといいでしょう。

◇  ◇  ◇

ずっと座っていること自体が、乗り物による長時間移動の際の疲れの原因であり、その疲れを軽減するにはこまめに立ち歩くことや、貧乏ゆすりが有効なことは分かった。次回はもう一つの疲れの要因だという「環境」について詳しく伺っていく。

[注1]Hagger-Johnson G,et al. Sitting Time, Fidgeting, and All-Cause Mortality in the UK Women's Cohort Study. Am J Prev Med. 2016;50(2):154-60.

梶本修身さん
 大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授、東京疲労・睡眠クリニック院長。1962年生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修了。2003年から産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。2017年9月には、最新著書『すべての疲労は脳が原因3〈仕事編〉』(集英社新書)、『なぜあなたの疲れはとれないのか?』(ダイヤモンド社)、『"人疲れ"が嫌いな脳』(幻冬舎)を出版。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)他、テレビ・ラジオでも活躍中。

(ライター 田村知子)

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