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グルメ・トラベル

外国人が「歩きたい」と思う日本の道 それはKISOJI インバウンドサイト発 日本発見旅

2017/9/15

実は田辺市熊野ツーリズムビューローにはカナダ出身のプロモーション事業部長、ブラッド・トウルさんがいて、長年にわたり外国人観光客の誘致に力を入れてこられたのです。私たちが取材に訪れたときもブラッドさんが一部を案内してくださったのですが、有名観光地はもちろん、飲食店やお土産屋の店員さんなど観光ルートのすべての方と親しく、その信頼関係と交流の広さには驚かされました。

そんなブラッドさんと夫のシャウエッカーが、古道散策中に「この景色がいいですよね~!」と意気投合して盛り上がっていた場所があります。しかし、私にとっては「え、ここ?」と思えるような、ごくごく普通の風景でした。

それが下の写真です。「熊野古道」という標識がなければ、日本中どこでも見られるような里山風景ではないでしょうか。でもシャウエッカーいわく、「山と森、田んぼや段々畑があり、民家が見える。ここに小川が流れていたら完璧!」。よく言われる「外国人と日本人が感動する部分の違い」をしみじみ感じました。

ブラッドさんとシャウエッカーがいたく感動していた景色がこれです。のどかな里山の風景ですね(写真:japan-guide.com)

■江戸時代にタイムスリップ感「木曽路」

熊野古道と人気を二分するのが「木曽路」です。江戸時代の五街道の1つ「中山道」のうち、長野県から岐阜県にかかる一部の区間のことで、奈良井宿、福島宿、妻籠宿、馬籠宿など11の宿場町がありました。現在でも、当時の街道と宿場の様子が一部きれいに残されています。特に妻籠宿と馬籠宿は景観が非常によく保存されていますが、そこには町並みから電柱を撤去したり昼間の車両通行を規制したりするなど、地元の方々の保存への強い思いがあるのです。

馬籠宿を歩く人たち。馬籠峠を越えていく人の過半数は外国人です(写真:japan-guide.com)

木曽路を訪れる外国人旅行者は、特に「歩きたい」という願望が強いように感じます。彼らは昔の日本が好き。特に伝統的な田舎の日本が大好きで、なるべくそのようなところを歩きたいと思っています。月並みな言い方ですが「タイムスリップ」体験をしたいと思っているのです。それが妻籠と馬籠でできる。歴史的な町並みと雰囲気を残し、田舎の風情もあって、とても人気があります。

妻籠と馬籠の間を結ぶ「馬籠峠」のコースは、旧中山道という昔ながらの街道を実際に歩けますし、約8キロメートルというほどよい長さの行程。両宿間での荷物の運搬サービス(有料)もあるので、身軽に峠越えができます。有料ですがヒノキの薄板でできた完歩証明書(英語版あり)も発行してもらえます。

馬籠峠を歩く外国人は急増しており、公益財団法人「妻籠を愛する会」の調査によると2016年は総数4万5373人のうち外国人は2万3160人と半数を超えています。

木曽の街道筋にはこのような標識が随所に立てられています。ローマ字表記もあり外国人観光客も安心(写真:japan-guide.com)
馬籠峠のコースに一部残る石畳は往時の旅をしのばせます(写真:japan-guide.com)
妻籠宿と馬籠宿の間にある「一石栃(いちこくとち)立場茶屋」の水場で。ここには無料休憩所があり、外国人の利用者も多いそうです(写真:japan-guide.com)
旅人が出発する前、地元の人が打ち水をしている朝の妻籠宿。昔の建物そのままの民宿もあり、外国人観光客に人気です(写真:japan-guide.com)

木曽路は、「日本の田舎・地方」というカテゴリーの中では飛騨高山と白川郷に次ぐ人気観光スポットです。シャウエッカーが歩いたときには、同じように昔の建物が残るスイスの田舎の雰囲気とよく似ていると感じ、日本に来るスイスの友人には木曽路をすすめているそうです。

交通アクセスもよく、名古屋からJRで中津川駅下車、そこからバスで馬籠宿まで約25分。将来的には、2027年開業予定のリニア中央新幹線が中津川にも止まるので、鉄道マニアのシャウエッカーは木曽路にますます行きやすくなるかもと喜んでいます。

■のどかな風景と寺社のたたずまい「山の辺の道」

熊野古道にも木曽路にも既に多くの外国人観光客が訪れていますが、これから紹介する山の辺の道(奈良県)は、まだ外国の人たちにはそれほど有名ではありません。しかし取材に行ったシャウエッカーとライターのサムは絶賛しており、特にサムは2016年の個人トップ10取材地に入れているほど。日本人にとっては少し地味な印象がある山の辺の道の、何が外国人の彼らをひきつけたのか……。その理由をお伝えする前に、取材のきっかけとなったエピソードが面白かったのでご紹介したいと思います。

それは10年ほど前、シャウエッカーが取材で秋田県八幡平のホテルに泊まったときのこと。夕食のダイニングルームで、宿泊客の席は個別のテーブルに分かれていたのですが、誰かの声掛けでみんなが1カ所に集まって食事をすることになり、それがすごく楽しかったのだそうです。そのとき、バイクで日本中を旅しているという男性に「今まででどこが一番よかったですか?」と質問したところ、返ってきた答えが「山の辺の道」でした。以来、いつか必ず行きたいという思いが常に胸の中にあったそうです。

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