「どの国が上がる」ではない 国際分散はなぜ有効か積立王子のヤング投資入門(6)

貧しさに苦しんでいたそれらの人々は、頑張って働けば所得が増えることを知り、経済成長で豊かになっていく体験を積み上げていきました。やがて彼らは先進国の製品やサービスを消費できるようになり、21世紀初めには頭文字を取ってBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)と呼ばれる新興国群が世界経済成長のエンジンとなりました。その成長は先進国の経済をも潤して、地球経済が一体となって成長軌道を構築するグローバリゼーション構造が確立していったのです。

「どの国の株価が上がるか」ではない

その後リーマン・ショックを経て、BRICS諸国は中進国と呼ばれるレベルにまで経済水準を高めましたが、以後はいずれの国も「中進国の罠」と呼ばれる成長の隘路(あいろ)に入って、構造改革に苦しんでいます。すると今度はそれらに代わるかのように、ルーマニアやベトナムなど「フロンティア国」が周辺諸国から勃興してきて、地球経済は今でも成長の果実を知る人々が毎日増え続けているといえます。

今回見てきたこのトレンドはまだまだ途上であり、やがて地球全体に及ぶまで続くことでしょう。これがグローバリゼーション時代であり、現在の国際分散投資とはフロンティア市場まで含めたまさに世界全体が対象です。そこで営まれる経済活動に資金を配分して働きに出し、地球経済全体の成長軌道に自分のお金を乗せていくという、極めてスケールの大きな意味を持っています。

近年はBRICS新興国の中でも、とりわけ中国が世界経済をけん引して成長の源泉となりました。しかしその勢いが行き詰まりを見せると、今度は再び世界最大の経済を有する米国経済が復権し、IT(情報技術)産業を中心に力強い成長を取り戻して、それが欧州・日本といった先進国地域のみならず、新興国経済にも好循環をもたらしています。このように地球経済はどこかが沈めばどこかが浮き上がり、全体では非常にダイナミックに成長を続けているのです。

グローバリゼーションとは、地球経済が一体的に、かつ複数の成長の源泉をもとに拡大・発展していく構造のことです。そこに資金を配分して投資していく国際分散ポートフォリオとは、「どの国や地域がこれから一番成長して、株が値上がりするだろうか」といった欲張った発想を超えて、地球全体の経済成長軌道をトレースする(なぞる)運用手法です。それは世界経済全体が過去においてもグローバリゼーション構造で安定した成長を続けてきており、その軌道はこれから先も長きにわたって持続するであろう、という合理的な前提に立脚しています。

次回はその成長を享受するための具体的な国際分散投資の方法(資産配分)について考えていきましょう。

中野晴啓
セゾン投信株式会社代表取締役社長。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを行っている。『預金バカ』など著書多数。
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