仕事が終わらない? ならば全部抱えて温泉へGO!
キレイになれる温泉の秘密
秋の行楽シーズンがやってまいりました。でも仕事があるからどこにも行けない、残業時間も気になるのでつい家に持ち帰り、週末は企画書作り……。そんなアナタにこそ、今すぐ出かけていただきたい温泉があります。パソコンを抱えて書類をかばんに詰めてGO! 癒やされながら仕事がバリバリ片付くはず。
「こもって仕事する」を想定した温泉宿
泊まってみたかった宿の予約がようやく取れて、もう出かける時間が迫っているのに、仕事が終わらない。そんなときは、仕事を持ったまま温泉へ出かけてしまいましょう。今回、向かう宿は「里山十帖」。新潟県の大沢山温泉にあります。東京から上越新幹線で約1時間20分、越後湯沢駅で上越線に乗り換えて、2つめの大沢駅で下車。宿の車が迎えに来てくれます。
里山十帖にはクリエイターズ・ツインという部屋があり、パソコンを使ったり書類を広げたりしやすいように大きめのデスクと、長く座っても疲れないデスク用チェアがあります。宿には、一人で泊まる人のための「ひとり割」プランの設定もあり、自分専用のオフィス付き温泉別荘のように泊まれます。もちろんWi-Fiも完備。来てしまったからには、何が何でも早く仕事を片付けてゆっくりするぞ、と気合も入ります。
「ここまで完了したらちょっと温泉につかってこよう」とか「食事の時間までに絶対終わらせる!」と区切りをはっきり決めると、集中力がわいてきます。一心不乱に仕事して、ふと窓の外へ目を向けると、優しい緑の木々。疲れた目も癒やされます。
この宿をリニューアルするときに、露天風呂をいちばん景色のいい場所に移動したそうです。2つある大浴場は、それぞれに内湯と、異なるデザインの露天風呂があります。男女入れ替え制なので1泊で両方楽しめます。横長の広い露天風呂は開放感があり、広い空と森を見渡せば頭の中のもやもやもスッキリ。遠い山並みを望む岩風呂は雄大な自然を感じられます。
温泉はとろりとした感触で肌すべすべになる炭酸水素塩泉。ほんの15分でも温泉につかればすっかりリフレッシュして、仕事もスイスイはかどるから不思議です。文豪が温泉宿で小説を書いていた理由がわかる気がします。「もうだめだ」と思ったら、温泉へどぼん。「ふうぅぅぅ」と、脳疲労を温泉へリリースすれば、「よし。がんばろう」と元気がよみがえります。
里山十帖の食事は作り手の顔が見える食材や、里山の恵みが中心。土地の力を蓄えたシンプルな食べ物こそ、本当にぜいたくで、力強いということをしみじみ感じさせる食事です。「カブってこんなにスパイシーだったんだ」とか「大根が甘くてジューシー」といったひとつひとつに幸せを感じるはず。家と仕事場の往復だけでは決して味わえない土地のパワーとの出合いは、へとへとになった心と体を元気にしてくれます。
忙しいときほど温泉へ。究極のウルトラCは温泉宿から出勤
温泉は一晩中入れるので、天気が良ければ天の川まで見える星空を眺められます。仕事も片付いて、心地よいベッドで熟睡。温泉で体の深部の体温を上げれば、上質な睡眠がとれます。
大沢山温泉がある南魚沼はコシヒカリの産地。もっちりつやつやのごはんは、この宿のメインディッシュといわれるほどです。野菜たっぷりのお味噌汁と里山のおかずが並ぶ朝ごはん。日本海のイワシのショウガ煮や、漬物と納豆を混ぜた魚沼の郷土料理「きりざい」などで栄養をチャージ。温泉宿へ出かけると、仕事がはかどるだけでなく、肌もつやつやに、帰ってからも元気いっぱい働けて一石三鳥なのです。
それでも忙しくて土日の1泊2日も無理、という方には、さらなるウルトラC級のリフレッシュ法があります。それは、日曜日に泊まって月曜日の朝に温泉宿から出勤してしまうという方法。越後湯沢のように、首都圏から移動が便利な温泉地を選べば十分実現できるワザです。
宿から早朝の出発は「いってらっしゃい」と送り出してくれるでしょう。「わたし、さっきまで温泉に入っていたの」なんて心の中でそっとつぶやくと、一週間が幸せな気持ちでスタートできるはず。
温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト。日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅の研究家。海外ブランドのマーケティング・広報の経験から温泉地の企画や研修もサポート。日本温泉気候物理医学会会員、日本温泉科学会会員、日本旅のペンクラブ会員、気候療法士(ドイツ)、温泉入浴指導員。
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