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円高に強いヘッジ付き外債投信 北朝鮮リスクで注目 QUICK資産運用研究所 清家武

2017/9/13

PIXTA

 北朝鮮が核実験やミサイル発射など米国への挑発を続けており、金融市場ではリスク回避的な円高・株安の動きがみられる。地政学リスクが高まる中で、価格変動リスクの小さい「海外債券(為替ヘッジ有り)型ファンド(以下、円ヘッジ外債型ファンド)」が改めて注目されている。為替ヘッジの仕組みを理解しながら、ひとつの投資候補として検討する価値はあるだろう。

■過去3カ月で2000億円以上流入

 「円ヘッジ外債型ファンド」には8月末までの過去3カ月間で2000億円以上の資金が流入し、投信市場での注目度が高まっている。同タイプのファンドは対円での為替リスクをヘッジしながら高利回りの海外債券に投資するファンドで、市場でのリスク回避の流れを反映して純資産残高も増加基調にある(図表1参照)。

 ヘッジをしないと、運用成績は為替変動のリスクに大きくさらされる。円安が進めば外貨建ての資産は増えるが、逆に円高が進めば減少する。これではせっかく海外債券に投資しても高利回りの効果を帳消しにしかねない。為替変動のリスクを抑えることで高い利回りを確保しようというのが円ヘッジ外債型ファンドの狙いである。

 為替ヘッジとはその時点で将来の取引に使う為替レートを予約し、変動リスクをできるだけ排除する行為だ。だが、為替ヘッジにはコストがかかるので、仕組みの理解が不可欠となる。実際には通貨間の短期金利差に相当するコストがかかる。

 仮に1年間米国債券へ投資し、売却するケースを考えてみよう。為替ヘッジをするには米国債券を購入する段階で、1年後に債券を売却する際の為替レートを固定しておかなければならない。投資家は「1年後に一定の為替レートで米ドルを売り、円を買う」という為替予約をするわけだ。

■短期金利差分のコストがかかる

 問題はそのレート。売却時には日米の短期金利の差の分だけ割高なレートで円を買い戻さなければならない。つまり、短期金利の差が為替予約のコストとしてかかるのだ。短期金利が日本年0%、米国年1%なら、為替予約コストは1%ということになる。

 なぜか。米ドルを1年間保有していれば、金利差分だけ円よりも資産が増えるはずだ。為替予約で1年後に米ドルを売って、円を買う約束をする際には、この1%分を米ドルを買う側にコストとして支払わなくてはならないのだ(図表2参照)。

 米国の景気回復を背景に、米連邦準備理事会(FRB)は2008年のリーマン・ショック以降に拡大した量的金融緩和の縮小を進めている。一方で、短期金利はトランプ相場で上昇しながらも1%程度の低水準にとどまっている。つまり、為替ヘッジコストは依然として低く抑えられており、米国債券の高金利を享受できる環境は継続している(図表3参照)。

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