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マルイのアニメ絶好調 好きな社員集まりファン射抜く

2017/10/4

 流通大手の丸井グループ(本社・東京都中野区)が、2017年7月期のテレビアニメ『アホガール』『徒然チルドレン』の製作委員会に名を連ね、業界関係者やファンの間で話題になった。マルイといえば「ファッション」のイメージが強かったが、実は今、アニメやゲームといった「コンテンツ」に関する展開で若者を中心に注目を集めている。

出資した実写映画『銀魂』では、6~8月にかけて博多、新宿、なんばで、映画セットの体験や物販のイベントを行った

 「アニメやゲームには、10年から取り組んでいました」とは、アニメ事業部の青木正久部長。新宿マルイ ワンを皮切りに『うたの☆プリンスさまっ♪』等の物販イベントを渋谷、大阪なんばの店舗へ展開。またオトメイトやカプコンと提携し、絵柄入りクレジットカードを発行、好評を得てきた。

 15年秋には準備室を、16年春に「アニメ事業部」を発足。事業拡大のきっかけは、630万人もの会員数を誇るクレジットカード「エポスカード」における調査だ。ファッションの売り上げが低迷するなか、15年11月にカード会員に対して大規模なウェブアンケートを実施したところ、全体の61%が「アニメ好き」、同じく25%が「ややオタク・かなりオタク」と答えたのだ。「一番の目的は、新しいお客様にマルイを知っていただくこと。さらにウェブ通販、地方への展開の起爆剤と考えています」(青木氏、以下同)

「あのマルイがコミケに」と話題を呼んだ初出店時は、オリジナルで『おそ松さん』の門松&缶バッジを販売。今夏で4回連続の出店となるという

 アニメへの取り組みを周知するため、マルイは15年12月、「コミックマーケット89」(コミケ)に初出店。発表当初は賛否両論様々な声が上がったが、『おそ松さん』のオリジナルグッズを販売し、大きな反響を得た。『おそ松さん』では、宮崎にカードセンターができたことを受けて、16年3月に地方創生アニメイベントを企画。商店街でのグッズ販売と街歩き謎解きイベントを開催し、県外から数多くの人が訪れ、2億円もの経済効果につながった。

 昨今アニメに参入する企業が増えるなか、マルイならではの強みは何か。まずは「店舗での告知」。店内のポスター掲示、外壁の大型電光掲示板に加え、特に好評なのが年6回のセール時の展開だ。

 次は、「社員」なのだという。始動当初わずか4名だったが、コミケの際販売員を社内公募したところ80名もの社員が手を挙げた。「みんな普段は店頭に立ち、セールに慣れている。当然アニメにも詳しい。接客の良さ、イベントでの混雑をさばく手腕が、ファンの好感度を上げる一因にもなりました」

■ファン心理を突くアイデアが大当たり

 アニメ好き社員の活躍はこれだけではない。テレビアニメの開始前後に事業部および有志によって「コレクル会議」が開かれ、ヒット作を予想。商品化でも、「(『銀魂』のエポスカードで主人公の)銀さんの目は笑っていないほうがいい」といったファン心理を突くアイデアが大当たりしている。

『銀魂』のエポスカード。「映画は実写でしたが、ファンニーズの高いアニメの券面が好評です」(青木氏) (c)空知英秋/集英社・テレビ東京・電通・BNP・アニプレックス

 こうして、マルイのアニメ事業への注目度はどんどん高まっている。「今回のテレビアニメへの出資も、アサツー ディー・ケーさんからのお声がけ。『銀魂』も、初の映画出資となった『青空エール』の展開を見た集英社さん、ワーナーさんからお話をいただきました」

 地方でも、名古屋・星が丘テラスで『KING OF PRISM ‐PRIDE the HERO‐』(7月に終了)、9月には、佐賀県唐津市とのコラボで、『ユーリ!!! on ICE』のイベントを博多発で開催した。

 「マルイは創業当初は家具屋でした。それが、80年代はDCブランド、今はコンテンツと、中心となる若年層のニーズによって変わるのは、商業施設の宿命。今後も進化し続けていきます」。16年に200、今年は300ものイベント型物販を予定。さらに今後は、アイドルなどによる「音楽事業」も本格化させたいという。

 最盛期の7割の人口とはいえ、時代を引っ張るのは若者。新たなコンテンツ事業を武器に、マルイはトレンドけん引力をさらに強くしようとしている。

(日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2017年9月号の記事を再構成]

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