オードリー若林 キューバ一人旅で「自分をリセット」

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人気芸人でありながら、著述家としての顔も持つオードリー・若林正恭。待望の単著2作目は、弾丸スケジュールで敢行したキューバ旅行記。人見知りと名高い彼が、なぜたった一人でキューバを目指すことになったのか――。

1978年9月20日生まれ、東京都出身。中学・高校の同級生、春日俊彰とお笑いコンビ・ナイスミドルを結成。その後、オードリーと改名した。ツッコミ担当。著書に『社会人大学人見知り学部卒業見込』(角川文庫)などがある。(写真:中村嘉昭)

芸人が書籍を発表する機会が珍しくない昨今にあって、本を愛する「読書芸人」としても頭一つ抜けた存在感を放つオードリー・若林正恭が、7月14日にKADOKAWAより2作目となる単著『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』をリリースした。今作は、インドアなイメージが先行する若林からは想像できない、キューバへの一人旅をつづった旅行記。人見知りの彼の目に、楽園と呼ばれるキューバはどう映ったのだろうか?

「ここ1週間に起こったことはあまり思い出せないのに、キューバの3日間はすぐに思い出せるくらい衝撃的でした。帰国から1年がたとうとしているのに、いまだに記憶が鮮明なことに自分でも驚いているんです。前作『社会人大学人見知り学部卒業見込』は社会とのズレをつづった内容でしたが、その違和感は社会が作ったシステム上の悩みなんじゃないか? だったら、違う社会はどうなんだろうって。日本とはまったく異なる社会で暮らすキューバの人々の姿が忘れられないですね」

若林は、2017年春から『潜在能力テスト』(フジテレビ系)のMCを含め、新たに3本のレギュラーを担当するなど超多忙な日々を送る。今回のキューバ旅行も、奇跡的にスケジュールが空いた5日間を利用して、弾丸スケジュールで敢行したという。

「年末年始を除くと、08年以来初めて5連休をいただいた。頑張ったご褒美と思う反面、うちの会社にも『働き方改革』が必要だなって(笑)。それだけ必要とされていることはありがたいんだけど、ずっと働いているとコーヒーかすが溜まっていくように、気持ちの中に何かが沈殿していくというか。リセットできる機会があるなら、いつか思いっきりかすを捨てに行ってみたかったんですよね」

ツッコミを放棄したかったのかも

急きょ空いたスケジュールだったため、自分で航空券を手配し、領事館でビザを申請し、宿もブッキングした。若林は、「インドアで消極的な自分からは想像できない行動力だった」と笑いながら振り返る。飛行機の空席が残り1席しかなかったため、キューバへは一人で行くことを決めた。

「海外旅行に対する憧れは強かったけど、一人で海外に行ったことがないから、もちろん不安はありました。でも、芸人仲間と出かけるとボケたりツッコんだり、無理にエピソードを作ったりしてしまう。僕はツッコミを放棄することを望んでいたのかもしれない(笑)。純粋に普段の日常や仕事から解放されて、ただ『すげぇ』って言うだけで許される休日を過ごしたかった。実は、後輩芸人とグアムにある有名なポールダンスをひたすら見続けるという案もあったんですけど、一人旅を選んだ自分を褒めたいです」

キューバでの様々な発見は、著書の中でも十分に書かれているが、中でも彼は「キューバには、人に対して優しくする時間と余裕があった」と噛みしめるように回想する。

「日本の場合、友達と飲みに行くにしても、自意識過剰を筆頭とした『ダサく見られたくない!』って意識が働くと思うんですけど、キューバには競争意識みたいなものがあまりない。自然とみんなが素直で優しいから、その優しさが伝播して僕も優しくなれた。『俺ってこんなにフランクなのか?』って驚くと同時に、東京にいるときはそういった余裕があまりないんだろうなって」

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