Aさんは相場の変動をこの8年間に経験することになるでしょう。仮に一時的な急落があって成績が25%のマイナスであったとしても、投資をスタートした当初なら、残高数万円から十数万円の上げ下げで済みます。長い目で見れば相場は上げ下げを繰り返します。短期的な上げ下げを実体験として学びながら、長期的に投資を考える習慣が身につくと思います。過去の実績では投資を10年続けた場合、9割の確率でプラスの成績になるという分析もあるそうです。
100万円ためてからのスタートは危ない
一方、Bさんはどうでしょう。投資の実経験を持たないまま100万円の資金を投じることになります。これは危険な投資スタートです。なぜなら、まとまった金額だけに、少しの相場変動でも元本は大きく増減するからです。なまじ苦労してためた100万円ですから、相場が5%下がり95万円に目減りすれば、落ち着きません。残高を見て「5カ月分の積み立てが消えた」と焦ってしまうわけです。
マネーハック的にいえば、投資デビューは「100万円ためて」ではなく「できるだけ少額」で、が鉄則です。
少額でスタートすれば気軽に始められます。お金がない、という言い訳も「月1000円」ならできません。投資デビューの心理的ハードルをひとつ下げられます。
いろんな投資をするうえでも少額でできるのはチャンスです。たった1000円で「国内の株式に投資する投信」「先進国の株式に投資する投信」「新興国の株式に投資する投信」「不動産に投資する投信」といろいろ試すことができます。
少額ならダメージが小さくて済む
失敗したとしてもダメージが小さくて済むのは少額投資の最高のメリットです。1000円の投資元本が10%下がっても、スターバックスのコーヒーを買う代わりにコンビニのコーヒーを買えば損失分は補えます。初心者なのですから、損失のリスクは抑えておくことが基本です。
ただし、注意したいのは証券会社や銀行による勧誘です。担当者は営業目標を達成しなければなりませんから、まとまった金額を投資してくれる人を探しています。長く話したら勧誘されると考え、「スタートは1万円程度でいきたいと思います」と早めに伝えるようにしましょう(ネット証券で買えばそもそも営業を受けずに済みます)。
とにかく「まとまったお金をためてから投資デビュー」という固定観念を取り去りましょう。それができれば、簡単に投資デビューでき、かつメリットのある投資も可能になるというわけです。
