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小沢コージのちょっといいクルマ

F1のマクラーレン 市販車、5年で成功したこだわり

2017/9/21

約5年でトップブランドの仲間入りを果たしたスーパーカーブランド、マクラーレン・オートモーティブ。同社で財務担当責任者を務めるのがポール・バディン氏(左)

 スーパーカーといえば誰もが歴史あるイタリアのフェラーリやランボルギーニを頭に思い浮かべるだろう。だが本格発売から約5年、非常に短期で世界のトップブランドの仲間入りを果たした希有なブランドがある。英国マクラーレンだ。

 実はそれ以前の1990年代に超レアな3人乗りスーパーカー「マクラーレンF1」を世に送り出し、何より1960年代からF1グランプリに参戦、現在180勝以上とフェラーリに次ぐ優勝回数を誇る超名門ではあるが、それでもレーシングカー作りとロードカー作りは根本的に違う。なぜマクラーレンはこれほど短期で成功することができたのか? 小沢コージが本拠地英国で最高財務責任者、ポール・バディン氏を直撃した。

■ドライバーを中心にすべてを考える

小沢コージ(以下、小沢) 今回はクルマ好き向けのマニアックなハードウエアの話ではなく、自動車ビジネスとしてのスーパーカーであり、よりジェネラルなことをお聞きしたいと思っているんですが。

ポール・バディン(以下、バディン) はい、どうぞ。

小沢 マクラーレンは2009年に量産車部門のマクラーレン・オートモーティブを設立、2011年にオリジナル・ミッドシップ2シーターの「MP4-12C」を発売し、その後シリーズを3つに増やして、わずか約5年後の2016年には3286台を発売して、予想以上の成功を遂げていますが、その秘訣はなんでしょう? やはりF1のイメージが大きいのでしょうか。

バディン キーワードは「Drivers for the Center of Action」、つまり「ドライバーを中心にすべての物事を考える」ということに尽きます。それが起点であり、すべてです。

日本でも3月8日に発表された英マクラーレン・オートモーティブの「720S」。税込み価格は3338万3000円からだ

小沢 具体的にはどういうことですか? そのキーワードはロードカー作りのコンセプトですか?

バディン そこにユニークセリングポイント(独自のウリ)を見いだしていく。ニッチなブランドであることを積極的にアピールするのです。クルマ作りの姿勢はもちろん、お客様にクルマを買っていただいたら、単に公道を走って楽しんでいただくだけでなく、売った後にもお客様がより楽しめるブランド体験をしていただく。具体的にはサーキットを走るイベントなどを通じて、よりブランドを楽しみ、深く知っていただきます。パワートレインはもちろん、最新の自動車テクノロジーを通じて享受できるドライビング体験をあますことなくお客様に提供するのです。

小沢 ハードウエアだけではなく、楽しみ方、それもかなりレベルの高いレーシング体験まで提供していくということですね。

バディン そうです。

小沢 ところでマクラーレンは今まで基本的にはレーシングカー専業であり、F1で勝つことを目標としていました。この量産車のビジネスプランは誰が考えたのでしょう。

バディン 誰か一人が考えたわけではなく、2009年にエグゼクティブメンバーがロードカービジネスに参入すると決め、彼らが青写真を描いたのです。

■難しいスーパーカービジネスの中で

小沢 日本から来た僕にとって、スーパーカービジネスはかなり難しいものに見えていて、ホンダ「NSX」にしろレクサス「LFA」にしろ、大きな収益は上げられていません。単純に性能であり、良いモノを作れば結構な値段で売れるって世界ではないじゃないですか。いわゆるブランディングであり、ブランド作りが大切だと思うのですが、フェラーリやランボルギーニなど強力ライバルがひしめく中、マクラーレンらしさや強みは何なんでしょう。

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