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F1のマクラーレン 市販車、5年で成功したこだわり

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NIKKEI STYLE

スーパーカーといえば誰もが歴史あるイタリアのフェラーリやランボルギーニを頭に思い浮かべるだろう。だが本格発売から約5年、非常に短期で世界のトップブランドの仲間入りを果たした希有なブランドがある。英国マクラーレンだ。

実はそれ以前の1990年代に超レアな3人乗りスーパーカー「マクラーレンF1」を世に送り出し、何より1960年代からF1グランプリに参戦、現在180勝以上とフェラーリに次ぐ優勝回数を誇る超名門ではあるが、それでもレーシングカー作りとロードカー作りは根本的に違う。なぜマクラーレンはこれほど短期で成功することができたのか? 小沢コージが本拠地英国で最高財務責任者、ポール・バディン氏を直撃した。

ドライバーを中心にすべてを考える

小沢コージ(以下、小沢) 今回はクルマ好き向けのマニアックなハードウエアの話ではなく、自動車ビジネスとしてのスーパーカーであり、よりジェネラルなことをお聞きしたいと思っているんですが。

ポール・バディン(以下、バディン) はい、どうぞ。

小沢 マクラーレンは2009年に量産車部門のマクラーレン・オートモーティブを設立、2011年にオリジナル・ミッドシップ2シーターの「MP4-12C」を発売し、その後シリーズを3つに増やして、わずか約5年後の2016年には3286台を発売して、予想以上の成功を遂げていますが、その秘訣はなんでしょう? やはりF1のイメージが大きいのでしょうか。

バディン キーワードは「Drivers for the Center of Action」、つまり「ドライバーを中心にすべての物事を考える」ということに尽きます。それが起点であり、すべてです。

小沢 具体的にはどういうことですか? そのキーワードはロードカー作りのコンセプトですか?

バディン そこにユニークセリングポイント(独自のウリ)を見いだしていく。ニッチなブランドであることを積極的にアピールするのです。クルマ作りの姿勢はもちろん、お客様にクルマを買っていただいたら、単に公道を走って楽しんでいただくだけでなく、売った後にもお客様がより楽しめるブランド体験をしていただく。具体的にはサーキットを走るイベントなどを通じて、よりブランドを楽しみ、深く知っていただきます。パワートレインはもちろん、最新の自動車テクノロジーを通じて享受できるドライビング体験をあますことなくお客様に提供するのです。

小沢 ハードウエアだけではなく、楽しみ方、それもかなりレベルの高いレーシング体験まで提供していくということですね。

バディン そうです。

小沢 ところでマクラーレンは今まで基本的にはレーシングカー専業であり、F1で勝つことを目標としていました。この量産車のビジネスプランは誰が考えたのでしょう。

バディン 誰か一人が考えたわけではなく、2009年にエグゼクティブメンバーがロードカービジネスに参入すると決め、彼らが青写真を描いたのです。

難しいスーパーカービジネスの中で

小沢 日本から来た僕にとって、スーパーカービジネスはかなり難しいものに見えていて、ホンダ「NSX」にしろレクサス「LFA」にしろ、大きな収益は上げられていません。単純に性能であり、良いモノを作れば結構な値段で売れるって世界ではないじゃないですか。いわゆるブランディングであり、ブランド作りが大切だと思うのですが、フェラーリやランボルギーニなど強力ライバルがひしめく中、マクラーレンらしさや強みは何なんでしょう。

バディン 繰り返しますがキーポイントは2つでまずは「Drivers for the Center of Action」。これがすべての起点なので、これが現在お客様に受け入れられているであろうというのが総評です。

小沢 ドライビング中心のクルマ作り、あくまでもカーボンモノコックのミッドシップ・スーパーカーしか作らないガンコさですよね。

バディン もう一つはそれに基づく「トラック22(Track22)」という計画があり、幅広いプランの中でいろいろ考えています。

小沢 2016年から2022年までの6年間で売り上げの25%である10億ポンドを投資し、15のモデルをリリースするって計画ですよね。今後今よりもっと商品が増えていく。

バディン より良い商品を作っていき、新しいお客様を獲得するということです。

小沢 これからマクラーレンはどういう会社になっていくんでしょうか。よく言われていますが、SUVや4WDやフロントエンジンカーを作る計画はないんでしょうか。

バディン マクラーレンにSUVや4WDを作る意思はありませんし、予定もありません。トラック22は純粋なスポーツカー作りのプランで、最大で年間5000台を上限としたプロダクションしかないのです。

小沢 他ブランドがそうであるように、単純にマクラーレンがSUVを作れば売れると思いますが、そうしないのは強みが減るからですか?

バディン というより、単純にそういうことに興味がないのです。だから5000台を上限に車作りをする、ただそれだけなのです。

今後のスーパーカービジネスはどうなる?

小沢 スーパーカーの将来についてはどのようにお考えですか。日本では一般的に「スーパーカーの夢」は減る傾向にあり、台数的には伸びているものの、どんどん二極化が進んでいるのが現状です。また指向的に相反する自動運転技術の台頭もあります。アジアや中国をはじめ富裕層は増えていますが、スーパーカーの未来は明るいのか? それともエコとの戦いなのか? どんな戦いが待っていると考えますか。

バディン もちろんみんながみんなマクラーレンを買う必要はありません。オフィスから家に帰るまでに絶対に必要な乗り物ではないのです。ただ、こういう商品は人々の心にすでに深く刻み込まれていると思っています。感情的な部分も含めて、極端に上がったり下がったりするものではなく、ある程度のポジションを確保できていると。

小沢 つまりスーパーカー価値は普遍的なものだと。

バディン そうです。例えば僕の8歳と4歳の息子たちは自宅にマクラーレンで帰るととても喜びます。単純に、すごくエキサイティングなのです。ただ、決して無視してはいけないのは排ガス問題であり、社会適合性で今後ハイブリッドのテクノロジーを駆使してクルマ作りもしなければならないでしょう。とはいえ、ドライバーにとっては「乗って楽しい」ということが最大の結果ですから、そこは決して外してはいけない。

小沢 分かりました。ただマクラーレンがSUVは作らないとしても、エンジンの気筒数を増やすようなアイデアはないんでしょうか?

バディン エンジンだけでなく、ハイブリッドのパワートレインは考えています。

小沢 答えにくい質問かもしれませんが、僕から見ると日本はスーパーカービジネスがうまくなく、ホンダにしろトヨタにしろ安くていいものを売るのは上手なんですが、高くてすごいものを売るのがどうにも苦手に見えます。スーパーカービジネスで大切なものとはなんなんですか。

バディン やはり最新のカッティングエッジテクノロジーを常に供給することでしょう。他にない価値を提供することです。

小沢 そう考えて見るとマクラーレンは「味」を大切にするブランドというイメージでしょうか? 非常にガンコにピュアにオリジナリティーを守る。比べると日本メーカーは味以上に、安さや信頼性にいまだに重きを置くというか?

バディン まずはブランド体験ですね。台数が少ないブランドなので、一人一人のお客様に対し、ショールームに来ていただいた瞬間からアフターセールスを受けていただく瞬間までVIPカスタマーとして承らせていただく。すべてのお客様に対して提供する内容が他社とはぜんぜん違うと思います。

小沢 他のブランドで、参考にしているブランドはありますか。ファッション業界だったらエルメスとか、ワインでいうところのロマネ・コンティのようなブランドとか。

バディン 体験という意味では、そういうこともあるのかもしれません(笑)。

小沢コージ
 自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。連載は日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』、不定期で『carview!』『VividCar』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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