「日本橋に首都高いらない」 地元重鎮が地下化に異議「栄太楼総本舗」6代目、細田安兵衛さんに聞く

――日本橋の再開発計画では、一段と多くの高層ビルが立ち並ぶようです。街の雰囲気がずいぶん変わりませんか。

「東京はどこも高層ビルの計画ばかりですが、この先、オフィス需要は果たしてどれだけあるのか。大きな容積率をいただけるのはありがたいですが、将来ビルのなかはガラガラということだってあり得る。これからは低層でも気の利いた建物をつくる時代になるんじゃないですか」

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交通量の予測もとに精緻な議論を

日本橋の上の高速道路は高度成長の負の遺産といわれ、移設の話は長年くすぶっていた。それが今動き始めた背景には、高速道路の老朽化がある。国交省が2028年までに架け替える計画を立てていたところに、三井不動産などによる周辺の再開発計画が浮上。「ビルの建て替えと同時に、高速道路を地下に移せばいいという話になった」(国交省道路局高速道路課)。こうした経緯から、高速道路の議論は地下化ありきで進んでいる。

都心の高速道路に撤去という選択肢はあり得ないのだろうか。国交省は12年の試算をもとに、「(日本橋を通る)都心環状線がなくなれば、(その外側の)中央環状線に負荷がかかるうえ、都心の一般道が渋滞する」と話す。だが試算では部分的な撤去は想定していないうえ、将来の交通量も古い数字をもとに予測している。3環状の完成に加えて、車のシェアリングや鉄道の貨客混載、水運などが広がれば、車の交通量はもっと減る可能性がある。

日本橋の再生は「10年から20年単位のビッグプロジェクト」(小池百合子東京都知事)だ。地下化のコストも日本橋周辺のわずか3キロメートルの区間だけで、06年に小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関が試算した4000億~5000億円を上回るのは間違いない。地下化か、撤去か。データにもとづいた緻密な議論が望まれる。

(オリパラ編集長 高橋圭介)

細田安兵衛
1927年8月、東京・日本橋生まれ。50年慶大経卒業後、栄太楼総本舗に入社。71年社長、95年会長、2000年から相談役。全国和菓子協会名誉顧問、全国観光土産品連盟特別顧問などを務めるほか、日本橋の保存活動を目的とした名橋「日本橋」保存会の副会長に就いている。日本橋の再開発計画を検討する地元の各種協議会にも副会長などの立場で関わっている。