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WOMAN SMART
DUALプレミアム

2017/10/5

DUALプレミアム

―― 紅一点の立場で成功した女性が後輩女性の成功や昇進をよく思わないことを「女王蜂症候群」というのですが、実際、「女性の敵は女性」で、この「2030」に陰で最後まで抵抗しているのは、現在5%弱いる女性管理職だというデータも出ています。

酒井 でもそれは、通らなければいけない道筋ですよね。だんだんそれが当たり前になってくると思いますし、いまの「女王蜂」の方々が持っている既得権益をみんなに分け与えなければいけないし、他にも「蜂」が連立することを受け入れないと生き残っていけなくなるのだと思います。

やっぱりチヤホヤされるのは楽しいですからね。チヤホヤのパイの奪い合いになるんで、危機感を持つ人は多いと思います。

物書きの世界は女性の進出も多く、昔から比較的男女平等ですが、本当に実力のある方、例えば瀬戸内寂聴先生のような方は90歳を超えてもスターであり続けていらっしゃる。最初こそ新しく入ってきた面々に危機感を覚えるかもしれませんが、それもまた必ず通り抜けなければならない道筋なのではないでしょうか。

「男尊女子」的にいうと、「私はそんな責任ある立場になりたくない」という人もなかにはいるでしょうし、そういう人が管理職になったときにどうするのか。女性で覚悟が決まっていない人というのはまだいるような気がするんですよ。同じように、男性にもいるんじゃないかと思っていて、女性だから男性だからではなく、男女共に適性を見て管理職に就く人材を選ぶことが必要なのだと思います。

働き方が多様化、ママたちはボーダーレスに?

―― ママの世界に目を移すと、「専業主婦ママ vs 働くママ」の構図は少なからずいま現在もあるように思うのですが、どうでしょう。

(写真:小野さやか)

酒井 専業主婦という言葉自体が割と新しいんですね。昭和40年代ぐらいでしょうか。それまでは「専業主婦」という概念そのものがなかったんです。もちろん「主婦が働く」という概念もなかった。

その後、「専業主婦」という言葉が生まれ、現在に至るまでにいわゆる「専業主婦論争」といわれるものがいくつか起こっていますが、1999年に『くたばれ! 専業主婦』(石原里紗著)出版をきっかけに起きたものを最後に目立った論争はないんですね。その理由を考えると、専業主婦がある種の特権階級になってしまっていることがあるのではないかと思います。夫の給料がそこそこ高額でないと、専業主婦が成立しない世の中になってきている。ただ、紙のメディアで起きていないだけで、ネットの世界では「専業主婦ママ vs 働くママ」の激しいバトルがいまもくり広げられているのかもしれないですが(笑)。

―― ひと昔前の、髪の毛を綺麗に巻いて、話さずともパッと見ただけで「専業主婦」だと分かるようなママが少なくなってきている実感がありますね。街を歩いていても、ママ友を見渡しても、働いているママなのか、そうでないのか、分からない感じなので、専業主婦に対してあからさまな対抗意識を持つきっかけがないのかもしれません。

酒井 結婚した女性の働き方が多様になっているからですよね。週に2日間だけ仕事をしているとか、そういう人もいるでしょうし、「働いているか、いないか」では分けられなくなってきているのだと思います。

―― さらに、働くママたち=ワーママでひとくくりできるかといえばそうでもなくて、パッと見では分からないですが、ママ本人の職業や収入はもちろん、パパの職業や子どもの学歴などで複雑に分かれているんです。みんな同じ部族だと思っていたのに、実は違っていた! みたいな……。

酒井 私はその複雑さからかなり遠く離れたところに住んでいるので、結婚して子どもを育てて働いて……という道ではないほうが、楽に生きられるのだなぁということに気づかされます。

そもそもワーママの皆さんは仕事に子育てに家事にと、私たちに比べて総労働量が多いじゃないですか。そばで見てても大変そうなのがよく分かりますし、休む暇もないですよね。とはいえ子どもを育てていると、これから先、自分が年を取ったときなど絶対にいいと思うんですよ。いま大変でも将来的にその苦労は報われるに違いないので、がんばってほしいのですが、でも一人で苦労を背負いすぎないでほしいです。

(ライター 毛谷村真木)

[日経DUAL 2017年7月28日付記事を再構成]