引き出しに貼る収納、丸めるリュック、注目ノマド文具
東京ビッグサイトで開催された、日本最大の文房具の祭典「国際文具・紙製品展」(通称:ISOT)。この見本市ではさまざまな文房具が並ぶが、文房具の世界では他のジャンルとの境界線があいまいな製品も多い。事務用品、バッグなどの収納用品、雑貨など、ISOTだからこそ見つかる注目商品を集めた。どれも机に縛られずに働くとき、役に立つグッズだ。
フリーアドレスでも安心! 持ち歩ける収納
キングジムの「desk pocket」は、事務机の引き出しに装着して、引き出しの前面を小物入れにしてしまうツール。外観は、最近はやりのノマドやフリーアドレス用の仕事道具をまとめて持ち歩くケースのようだが、開くと片側がマグネットになっていて、引き出しを開けた扉の内側にくっつければ、もう片側が引き出しの前扉に張り付いて小物入れになるという仕掛け。オフィスの机の最下段の高さがある引き出しに付けることが想定されている。このマグネットが強力で耐荷重は2kg。タブレットなら余裕で入れられる。
基本的には電卓や手帳、スマホ、ハサミ、筆記具、印鑑、テープのりといった小物を入れて使い、そのまま仕事が終わったら、畳んで引き出しやカバンに突っ込んで帰るといった使い方が想定される。
机の上の小物を片づけられるし、必要なときにさっと取り出せるし、結果的に作業スペースを広く取れるし、使い始めればかなり役立つ。立てて使うペンケースのようではあるが、もう少し大きなものが入るのがうれしい。A4サイズのポケットがあるので、書類の一時的退避場所としても使用可能。かなり幅広く使えるため、仕事を選ばず利用できそうだ。
持つときはA5、仕事中はA4サイズに
キングジムの「コンパック」は、A4のクリアファイルのように使えるのに、A5サイズで持ち歩ける画期的なファイル。筆者の個人的文房具大賞2017グランプリをあげたいくらいよくできた製品だ。
見ためはA5サイズの二つ折りのファイルだが、背の部分が柔らかい素材でできていて、スムーズに180度開くようになっている。また、中のクリアポケットは、右側上部は表紙に固定され、左側はレールが付いていて左右に動くようになっている。下部は固定なしのフリー状態。この構造で閉じたり開いたりしても、中に入れた書類に力がかからず、折り目やシワが付きにくいのだ。そして、この開きのよさと、クリアポケットの固定方法の合わせ技で、何と、クリアポケットをページをめくるように開いて中に入れた書類を見ることができる。
これが本当に便利なのだ。持ち歩く際はA5サイズになるから小さなカバンにも入るし、見るときもA4のファイルに比べても表紙がないぶん、ラクに読むことが可能。片手でもページがめくれるのは、この形状ならではだ。
クリアポケットは5枚タイプと10枚タイプがあるが、価格差が100円なので、断然、10枚タイプをお薦めする。10枚タイプだと、片面印刷の書類なら最大20ページまで、ファイルに入れたまま内容を閲覧できる。実際に触ってみると、とても使いやすい。思った以上に書類に折り目が付かず、デザインも安っぽくない。A4ファイルを持ち歩くより、こっちのほうが利点が多いような気さえする。キングジムの担当者によると、とても売れているとのこと。
折り畳めるリュックとショルダー
ワンタッチで畳める折り畳み型エコバッグ、マーナの「Shupatto」に、新作の「Shupatto リュックサック」と「Shupatto ショルダーバッグ2way」が登場した。エコバッグは便利だけれど、使用範囲が限定されるし、男性は使いにくいところがあったが、今回の新製品は大人の男性も十分使える。特に、ショルダーバッグにもブリーフケース風にも使えるShupatto ショルダーバッグ2wayは、老若男女を選ばず使える汎用性の高さが魅力。Shupatto リュックサックも十分なマチがあって、かさばる荷物にも対応する。
このシリーズの大きな魅力は、シュッと左右に引っ張るだけでカバンがベルト状になって、後はそれを巻くだけでポケッタブルになること。ポケッタブルのバッグは便利だけど小さく畳むのにコツがいるものが多く、面倒になってしまって使わなくなるケースも多いが、このシリーズだとその心配もない。
リュックサックは細かくギャザーが入っていて、荷物の大きさによってマチが変わるようになっていたり、ショルダーバッグはサイドのマチが広がって中の荷物に応じた形になって持ちやすく容量も大きいなど、カバンとしてもうまく工夫されている。旅行先で街歩きに使うならこれで十分。完成度が高い。
また、従来のエコバッグの形で、サイズを小さく、価格を抑えた「Shupatto ポケッタブルバッグ」もお目見えしていた。980円でペットボトルなら5本収納可能。折り畳んだときのサイズもとても小さい。つい欲しくなるサイズ感だ。
しおりの中に眼鏡拭き
読書グッズの専門メーカー、お風呂で読めるブックカバーでおなじみのジェコルの新製品は、しおりの中に眼鏡拭きが仕込まれている「ふく栞(しおり)」。高齢化社会の現在、本と老眼鏡はセットで考える時代になってきた。ならば、そこに眼鏡拭きがないと困るのではないかというのがこの製品の始まりだそうだ。
ふく栞は、透明シートのしおりにマイクロファイバーの眼鏡拭きが挟み込まれているだけだが、これが侮れない。眼鏡拭きの模様がそのまましおりの模様になっているというアイデアも良いし、欲しいときに素早く取り出せるのがうれしい。意外と必要なときに見つからないのが眼鏡拭きだから、このように使う場所の側に用意されているというのは、とても助かるのだ。大げさにならないデザインも良い。
新製品はもう一つ。ページをめくるときに使う指サックが付いたブレスレット「ペラット」だ。スムーズなページめくりができる指サックは、使い始めると手放せない便利グッズだが、これも必要なときに見つからないし、本を読んでいる間中指に付けているのも邪魔くさい。そこで、ブレスレットと指サックを一体化。なくさないで済む、探さないで済む指サックになっているのだ。ちょっとしたアイデアだが読書の必需品になるかもしれない。
(文・写真 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2017年7月24日付の記事を再構成]
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