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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

みんなは何を買っている? iDeCoで知る投資の極意 iDeCoで投資デビュー(7) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/9/6

 iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者が6月末で55万人と、相変わらず月3万人のペースで増えています。またDC(企業型確定拠出年金)の加入者も同様のペースで増えており、現在の加入者は630万人と、民間サラリーマンのおよそ6人に1人*が利用している制度になってきました(*厚生労働省が今年3月に公表した『平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から、公務員を除く厚生年金被保険者数3686万人より試算)。

 そこで今回も企業型DCの加入者の方々のエピソードを交えながら、iDeCoに加入して投資をするとどんなことが起こるかお話ししていきたいと思います。

■投信保有割合の高い30代・40代

 さて皆さんは、他の確定拠出年金加入者たちがどんな資産配分をしているか、知りたくありませんか? 運営管理機関連絡協議会が昨年公表した年代別の資産配分状況(残高ベース)がこちらです。

 2016年3月末のデータであり、ニューヨーク・ダウ工業株30種平均の値上がりを勘案すると現在は外国株式の割合がもう少し増えていると思いますが、おおむねこんな感じだと思っていただいていいでしょう。国内株式型からバランス型、MMFまで、投資信託の保有割合が高いのが30代・40代です。50代の方々では徐々に投信の割合が減っており、少し保守的な運用になっていることが読み取れます。これは60歳以降に受け取ることを考え、そのタイミングで大きなマーケット変動があっても受取額の影響が少なくなるよう考えた結果でしょう。

 20代以下は投信の割合が大きく減り、預貯金や保険など元本確保型商品の割合が増えています。これは投資や投信の知識が少ないからだろうとおっしゃる方もいますが、現実的にはまだ働き始めたばかりで金銭的な余裕がないということと、さらには「投資とはある程度まとまった額でするもの」というイメージも影響しているように思います。しかし、後述するようにこれは大きな誤りなのです。

 金融庁の調査に「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月実施)」というものがあります。その中の「投資は資産形成に必要だと思うが、投資を行わない理由」の回答でも、「まとまった資金がないから」(73%)、「どのように有価証券を購入したら良いのか分からないから」(37%)、「取引を行う時間的ゆとりがないから」(30%)などが上位に挙げられています。

■下げても買い続けるのが重要

 でも、本当は投資とは必ずしもまとまった額で始めるべきものではありません。なぜならば投資には経験からしか学べないことがたくさんあり、特に最初はつきあい方がよくわからないので、失敗することも多くあるからです。したがって大きなお金を一度に投入して(一括投資)大きなリスクを取るのではなく、少額で始めていくべきものなのです。

 特にiDeCoで行う投資は5000円からの少額積み立てで、毎月同じ金額が継続して投資されます。投信の価格は日々変動しますので、価格が高いときは少ない量を、安いときは多い量を購入することになります。洋服を買うのに例えれば、シーズン初めには少ししか買わず、バーゲン時は安くなっているので多めに買えるといったイメージです。

 こういう買い方により、仮に相場が下落していても、持っている投信の平均買い付け単価は下がっていきますから、相場が元に戻ったときの利益は大きくなります。これを自動的に行ってくれるのがiDeCoの投資のスタイルなのです。人間にはもうけたいという欲がありますから、相場の下落時には(本当は買いのチャンスなのに)買い渋ってしまうなど、判断にはバイアスがかかりがちです。個人ではなかなかこういう「下がり続けていても買う」といった冷静な投資は続けられません。

■投資の極意は長期、継続、分散

 また、iDeCoは60歳まで引き出すことができませんから、必然的に長期の運用になります。リーマン・ショック後の株価が世界的に低迷していた時期は、投信で分散投資していた加入者は資産残高が目減りし、元本を2割以上も割ってしまっている方が大勢いました。そのころは多くの方が「暗い気持ちになるから残高を見たくない」と口をそろえて言っていたものです。普通の投資方法であればこの段階で運用を諦め、投信を売って損切りしてしまったかもしれません。しかし、確定拠出年金は60歳まで引き出せませんし、他の商品への乗り換えも面倒なので、仕方なくそのまま運用を継続していった方がほとんどでした。

 その結果はどうでしょう。ニューヨーク・ダウは5年後にはリーマン・ショック前の水準に戻し、日本の株式市場もアベノミクスとともに復活しました。その間、投信を安く買い続けていたことが功を奏し、14年あたりになると年率5%程度の運用成果を上げる方が続々と増えてきました。恐らくこの時期、多くの加入者は運用の極意ともいうべき「長期」「継続」「分散」の3つを組み合わせることの効果を実感されたことでしょう。

 iDeCoでは複数の資産に分けて運用できます。そこで資産配分の一部を投信にすれば、少額でも立派に投資を始めたことになり、「投資した商品の価格が変動する」という体験ができます。値下がりしたときに自分がどんな気持ちになり、どれくらいの元本割れなら耐えられそうかも実感でつかめます。この「リスク許容度」は自分に合った資産配分を決める大事な判断材料です。iDeCo以外の資産運用でも役立ちますので、まずは小さな金額で投信積み立てを始め、投資の経験を積まれることをお勧めします。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

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