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dressing

食べてびっくり、具なし焼きそば 素材のうまさ生かす

2017/9/11

 東京、つくばエクスプレス(TX)の浅草駅からほど近く。下町情緒あふれる街の一角に、オーセンティックな料理でグルマンたちの舌をうならせる中国料理店がある。1993年、栖原一之シェフが開業した「龍圓」だ。その店構えからは一見、どの街にもありそうなごく普通の中国料理店のように見えるが、提供されるのは一般的な中国料理とは一線を画す料理ばかり。

Summary
1.東京・浅草にモダンチャイニーズをけん引する名店
2.国産の食材にこだわり、素材を大切に調理
3.新鮮な驚きをもたらしてくれるのは中国の枠組みを超えた料理

 栖原シェフは、幼い頃に食べた中国料理に衝撃を受け、早い時期から中華の料理人になることを夢見ていた。学校を卒業した後、上海料理店で修業。独立して「龍圓」をオープンした当初は、オーソドックスな上海料理を提供していた。店を経営していくうちに、ジャンルを越えた様々なシェフや生産者との出会いがあり、栖原シェフの料理に対する世界観は変化していったという。

 気がつけば、栖原シェフは独自の料理を提案し続け、モダンチャイニーズの第一線を走るようになった。

「酢豚には、ケチャップを使うべきなのか。チンジャオロースはピーマンと水煮のタケノコを使うが、旬でない野菜を使って本当においしい料理ができるのか。自分にしかできない料理を追求して、このように料理の要素をそぎ落としていく引き算の料理に到達しました。料理一皿一皿に向き合って、必要のない部分を引いていく。そうすると、そぎ落としたあとには、プラスしていくべきものが見えてきたんです」と栖原シェフは話す。

10年以上前から独自の料理を提案し続ける栖原一之シェフ

 栖原シェフは素材をとても大切にする。仕入れる食材のほとんどは、自らが生産地に足を運び生産者と対話して納得したものだけ。そして、食材は国産にこだわる。「私たちがどんな料理を作っていても、日本人であることは変わりません。アウトプットが中国料理でも、ここ日本で作ったという痕跡を残したいと思い、メイド・イン・ジャパンにこだわっています」。

 例えば、「龍圓」で使用する油は、国産の米油。「食油について調べていくと、原材料のほとんどは輸入されているものだと知りました。国産の食油はないのか探して見つけたのが米油です」(栖原シェフ)。米油で揚げ物をすると違いは歴然で、そのサラッとした軽やかな味わいから、より素材の甘みが引き立つことを実感したという。

「ボーソー油脂という会社が国産の米ぬかで油を作っていることが分かったので、工場見学させてもらい、米油の製造方法を勉強させてもらいました。大量の米ぬかから、ほんの少ししか油は抽出できないんです。しかも、オートメーションで油ができるわけではなく、職人の手作業で丁寧に作られている。こうして自分の目で見て体験したことを、伝えたいと思っているんです」(栖原シェフ)。

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