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キャリアコラム

受験業界の「黒船アプリ」 なぜリクルートが創れたか リクルートマーケティングパートナーズ山口文洋社長×BCG杉田浩章代表

2017/9/9

リクルートマーケティングパートナーズ社長の山口文洋氏

 顧客となる学生たちに「塾にいってますか」と調査したら、「母子家庭なので塾・予備校にいけない」「田舎なのでいい予備校はない。東京がうらやましい」という、生々しい声を聞きました。そこで、学習・受験にまつわる機会の不平等、という課題を解決したいと思ったのです。

■消費者の「不」を発見する

杉田:スタディサプリは、純粋に社会的な使命感から始まった、と思っていたので、非常に驚きました。まさに、消費者の課題、「不」を発見されたと思います。なぜこの課題に気づけたのでしょう。

山口:スタディサプリのビジネスそのものは、誰でも考えつくと思います。重要なのは、思いついた後です。絶対にやってやるという行動力と、実行にあたってその市場をどれほど知っているのか、その知見の量です。どれだけ精度高くビジネスを設計できるかで、成功の確率は変わると思います。私は、これまで教育事業に関わり、市場の特性や潜在ニーズをある程度分かっていた。この事業の可能性を経営側に対して伝えられたことが大きいと思います。

■成功モデルを捨てて乗り越えられる力とは

杉田:リクルートの多くの事業は、企業や消費者などをつなぎ、両者の価値と収益を最大化する「マッチングモデル」が基本にあります。たとえば、就職したい人と採用したい企業をつなぐ、というような。一方で、大学受験に向かう高校生の支援に、一番の価値を置くスタディサプリはそのモデルとは大きく違います。

山口:ユーザーの求める価値と、企業の価値、絶妙なバランスを取るのがリクルートのビジネスモデルの「妙」です。スタディサプリの挑戦は、顧客である学生が、「行きたい大学に合格する」という目的を達成できるよう、「最短で・効率的で・効果的な」学習方法を提供することです。そこに大きなインパクトを出せるかがすべてで、またそのモデルを維持することが生命線だと思っていました。

杉田:顧客へのサービスをひたすら磨くモデルですね。しかし、現在、企業や学校に向けてもスタディサプリを積極的に販売されています。企業や学校との取引は最初から考えていたのですか。

山口:スタディサプリを最初に考えついたとき、私は月980円で子どもたちが学びたい放題で勉強してくれたらいいなと思っていました。しかし、このサービスを使うのは、勉強に意欲があったり、自己管理能力が高かったりするような、一部の限られた子どもだと思っていました。

■多くの子は勉強が好きじゃないが

多くの子どもは、勉強が好きじゃない。いくら安くても続かない。だから、いずれは学校現場などで先生が生徒に伴走するための、「武器」になればいいなとも思っていました。とはいえ、そのタイミングをこちらから無理につくってもうまくいかない。ですから、自分たちから積極的に動くのではなく、980円のサービスをとにかく磨くことに専念していました。ところが、サービスを発表したとたん、学校から何十件も「使いたい」という問い合わせがあったのです。

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