一寸先は闇、年収1200万円にこだわった転職者の後悔ミドル世代専門転職コンサルタント 黒田真行

入社してわかったことは、諸手当込みの年俸1200万円でスタートしたものの、3カ月目で実質年収ダウンの固定給制度に切り替えを迫られ、「試用期間は6カ月だけ」と聞いていた契約社員の雇用契約も、よほどの業績がなければ正社員に切り替えられないということでした。想定外のことに人事部長に抗議のメールを送ると、翌日には半日も缶詰め状態にされてパワハラまがいの対応を受け、それ以降は直属上司の態度も豹変するなど、まさにブラック企業そのものだったそうです。

一連の転職活動を振り返って、Aさんは以下のように総括されました。

●転職活動の事前準備が圧倒的に不足していた。世の中は人手不足というニュースをたくさん見聞きしていたこともあり、甘く考えて見立てを誤った
●「自分に値段がある」という錯覚が大きかった。人間に値段がついているのではなく、仕事で生み出した価値が報酬を決めるだけなのだという意味が初めて腹落ちした
●転職も結局交渉ごと。落としどころを考えずに「売る側の論理」だけで行動しすぎた。「買う側の心理」に踏み込めば、もっといい選択肢が確実に存在していた
●焦りが判断を狂わせることを思い知った。冷静になれば気付く落とし穴を見つけられなかった

これらの反省点を軸に、Aさんはいま、前回とは全く違った軸で転職活動を続けています。300人以下の中小企業を中心として、一番の強みである採用と労務管理をメインに、役職にはこだわらず探した結果、3社の企業と面接が進行中(うち1社は次回が最終面接)という状況です。

一番のこだわりだった年収は、あくまで希望条件ということにとどめ、むしろ入社後の活躍次第で伸びしろがある評価制度になっているか、という観点を重視されているようです。

「結局、累進課税なので手取り年収は額面年収ほど差がないこと、また、年収にこだわって面接すると業務への姿勢を問われ失敗しやすくなること、年収金額で線引きすることですさまじい機会損失が生まれる事実に今さらながら気づきました」

少し観点を変えるだけで、検討できる求人企業は3倍以上になったようです。まだ予断を許しませんが、Aさんの先行きが少し明るくなったことを転職エージェントとして本当にうれしく思っています。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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