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厚生労働省が8月29日に発表した7月の有効求人倍率は、前月比0.01ポイント上昇の1.52倍だった。5カ月連続の上昇で、1974年2月(1.53倍)以来43年5カ月ぶりの高水準となっている。転職市場は、圧倒的な売り手市場と言ってもよい状況だが、そんな環境の中でも、転職後の状況に大いに不満を感じている人が多くいるのも現実だ。今回は、豊富なキャリアを持ちながら、年収にこだわったために納得いく転職活動ができなかった元大手証券マンの「最大の後悔」を紹介する。

38歳、先輩の会社に引き抜かれたが…

昨年秋にキャリア相談でお会いしたAさん(44歳)は、15年間勤務した大手証券会社で、中規模の支店の責任者を任せられるほど高い評価を得ていました。ちょうど6年前、38歳のときに大学時代の体育会の先輩に声をかけられ、その先輩が専務、先輩の父親が社長を務める社員数300人規模の不動産仲介会社の管理部長として転職。証券会社での年収1200万円に対し、先輩の会社では年収1400万円という三顧の礼で迎え入れられました。

事業は順調に成長し、財務的にも問題はなかったのですが、ここ数年の中小企業のM&A(合併・買収)市場の活況を見て、オーナー社長が事業譲渡を決断したことで状況は激変しました。M&A仲介会社に紹介された同業大手企業との交渉開始から1年半の準備期間を経て、昨年4月、ついに会社統合が実現しました。社長からの指示を受け、管理部長であるAさん自身がゼロからこの交渉を仕切り、部下に任せられない統合後の組織人事まで、自ら構想をまとめ上げられたそうです。

管理部門など数字に直結しないスタッフは、雇用を継続するとダブルコストになりやすく、買われた側の従業員は、希望しない営業部門への異動か、退職かのどちらかを迫られるということになります。Aさんが作成した、リストラ対象候補者リストの筆頭に書き入れたのは自分の名前でした。

引退予定の社長と専務(次期社長)からは資産管理会社で仕事を続けることも勧められましたが、事業を持たない会社で自分がやるべき仕事がないことは明らかでした。統合業務をすべて終えて、昨年9月末にAさんは退職しました。

初めての転職活動「自分の値段は最低1200万円」

この時点で43歳だったAさんは「3カ月ぐらい頑張れば転職先は決まるだろう」と考えていました。退職の半年ほど前から転職活動はスタートしていたのですが、業務が忙しかったこともあり、半年間で面接に行った会社は3社。生まれて初めて訪れた大手の転職エージェントで50社以上の求人票を見せられた中で、条件が希望に近かった上場企業3社に応募しましたが、結果は一次面接で不採用でした。

「競争相手も多そうだから仕方がない」と言い聞かせつつ、「意外にたくさん求人はある」という感触もあったため、退職するまで本腰を入れて転職活動はしていませんでした。

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