だまされたと思ってやってみてほしい。とても役立つ方法です。そもそもこれは戦場で生まれた知恵なのです。戦場に行くと、肉体的にも精神的にも、過酷な状況であるためにあっという間に消耗し、疲弊し、本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。かつてはこれは精神疾患によるものだと思われていたのですが、あるとき「とりあえず休ませよう」と3日間、何もしないで休息させてみると、非常に効果的だったのです。

現代人が元気を取り戻すためのポイントは、とにかく、刺激から離れて休憩をすること。原始人のときであればエネルギーを取り戻すためには「食べること」が重要だった。しかし今、パソコンやスマホのおかげでどうしても24時間態勢で頑張り続けなければいけない現実があります。だからこそ、ネットやメールといった「感情への刺激」から離れ、何もしないことが大切なのです。

――その「休みどき」が自覚できない人がいるかもしれません。

(インタビュー写真:菊池くらげ)

その通り。今、あなた自身の体にスマホの電池残量みたいな表示があるとしたら、どのぐらいエネルギーは残っていると感じますか?

実は、多くの人は、エネルギーの減り具合を自覚できていません。運動後の「はぁー、疲れた!」という疲労は分かるけれども、日常の中では「そんなに疲れていません」とおっしゃる人が多いのです。

しかし、実際にはけっこう疲れていて、その疲れはどこに表面化するか。仕事の能率の悪さや、寛容力の低下に出るのです。まさに、イライラを封じ込めるエネルギーがなくなった状態が「疲労がたまった」状態。わけもなくイライラするときには、とりあえず休もう、と切り替えてみましょう。

――家族がいる場合、なかなか3日連続で休むのは気が引けるということもあるかもしれません。

集中的に休みをとることで、気力も体力も取り戻したい、と真剣に伝え、理解してもらいましょう。家の中にいるとゆっくり休めない、という場合は、ビジネスホテルなどに泊まる人もいます。自分のために必要不可欠な経費だと思えば、実行できるのではないでしょうか。

人間はきわめて動物的な生き物

――「人は完璧ではないし、一定でもない、一貫性もないもの」という著書の言葉に、なるほどと思いました。なのに、完璧であること、誰に対してもいつも穏やかに対処できることを理想とするから、「寛容力がない」自分を責め、さらに寛容力を落としていくという負のループにはまるのですね。

一生懸命働いてきた人ほど、いつも一定であり、完璧に、一貫性を持ちたい、と努力してきたはずです。自分の心のどこかを麻痺させてでも頑張る技術を磨いてきたのです。

しかし、ちょっとした苦痛があっても、我慢、我慢、と押し込めることが続くと、いつか決壊するときがきます。