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2歳まで育児休業の再延長が可能に 条件は?

日経ウーマンオンライン

2017/9/11

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 こんにちは、人事労務コンサルタントの佐佐木由美子です。2017年10月1日から、改正育児・介護休業法が施行されます。働く女性にとって大いに気になるその内容について、今回は確認しておきましょう。

■最長2歳まで育児休業の再延長が可能に

 昨今は、妊娠・出産で仕事を辞める人はだいぶ少なくなりました。実際に、女性の育児休業取得率は81.8%と高い数値が示されています(厚生労働省「平成28年度雇用均等基本調査」)。ただし、30人未満の事業所では68.9%と大企業を含めた全体平均よりも10ポイント以上低く、中小企業においてはいまだに育児休業が取りにくい状況にあると言えます。

 育児休業を取ったものの、保育園に入れずに、退職を余儀なくされる方もいます。例えば、6月10日生まれの赤ちゃんの場合、本来は翌年の誕生日の前日までが育休期間となりますが、保育園等に入れない場合は、6カ月の延長が認められ、翌年の12月9日まで休業をすることができます。ところが、その時点においても保育園等に入れないときは、さらに延長ができないために退職するケースも珍しくありませんでした。

 会社によっては、もともと子どもが3歳になるまで育児休業を取れる場合もありますが、法律上は原則として1歳まで、保育園等に入れないなど特別な事情がある場合に限り、1歳6カ月まで延長できることになっています。

 ところが2017年10月1日から育児・介護休業法が改正され、保育園等に入れない場合などは、育児休業期間を最長2歳まで再延長できるようになります。上記のケースでは、さらに翌年の6月9日まで延長できることになり、入園しやすい新年度の4月に保育園に入れれば、職場復帰も可能です。

■再延長できるケースとは?

 注意したいのは、初めから子どもが2歳になるまで育児休業を申請することはできない、ということ。これは、会社のルールが法定通りの場合の話ですが、あくまでも育児休業ができる期間は、原則として子どもが1歳に達するまでです。

 保育園等に入れないなど特別な事由がある場合に限り、子どもが1歳6カ月に達するまでの間、育休期間を延長することができますが、2歳まで延長できるのは、1歳6カ月まで育児休業を延長していて、それでもなお保育園等に入れないケースです。

 この育休期間の再延長に伴い、「育児休業給付金」の支給も延長されます。この場合、保育の利用が実施されない事実を確認できる書類として、市町村が発行した保育所の入所不承諾通知書などが必要となります。ただし、1歳から1歳6カ月までの間に育児休業給付金の延長申請をしていない人は、2歳までの給付金の再延長申請はできません。

 待機児童が多いエリアにお住まいで、育休からの職場復帰が保育園の関係で難しいことが予想されるときは、早めに自治体に相談し、入所申し込みをしておくことをおすすめします。

 今回の改正により、育児休業が最長2歳になるまで取得できることになりますが、キャリア形成の観点からすると、休業が長期に及ぶことが必ずしも本人にとって望ましいとはいえない場合もあります。会社側が本人のキャリアを考慮して、早期の職場復帰について打診することもあるかもしれませんが、これは育児休業等に関するハラスメントには該当しないものとされています。

■改正のポイントをチェック

 2017年10月1日から改正施行される育児・介護休業法の目玉は、上述の育休が最長2歳まで再延長できることですが、それ以外のポイントもチェックしておきましょう。

[育児休業制度等の個別周知]

 事業主は、社員やその配偶者が妊娠・出産したこと、または家族を介護していることを知った場合に、社員本人へ育児休業や介護休業等に関する定めを個別に周知する努力義務が課されました。

 平成27年度「仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)において育児休業を取得しなかった理由を尋ねたところ、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから」と回答した人の割合が女性正社員は30.8%、男性正社員は26.6%にのぼりました。

 職場の雰囲気で育児休業の取得を諦めることのないように、対象者へ個別に育児休業中やその後の待遇について周知したり、勧奨したりすることは、とても心強い後押しになることでしょう。

[育児目的休暇の新設]

 育児休業以外に、子どものために会社を休める制度としては、「子の看護休暇」があります。しかし、これは主として子どもが病気やケガをした場合等に利用するもので、入園式などのイベントには利用できません。

 そこで、特に男性の育児参加の促進を図るために、就学前までの子どもがいる社員に、育児に関する目的で利用できる休暇制度を創設することを企業側へ課しました。ただし、これは努力義務となるため、どのような制度となるかは会社によって異なります。

 仕事と育児の両立は、女性ばかりでなく、男性にとっても課題です。働きながら、積極的な子育て参加が進むように、私たちもこうした改正内容をキャッチアップして、両立しやすい職場となるように働きかけていくことが大切といえるでしょう。

佐佐木由美子
 人事労務コンサルタント・社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所等に勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌等メディアで活躍。

[nikkei WOMAN Online 2017年8月23日付記事を再構成]

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