定年後の趣味は続かない? 生涯の楽しみは今から探す経済コラムニスト 大江英樹

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会社員は60歳の定年後、多くの人が20年以上のセカンドライフを過ごします。悠々自適の生活を送る人もいれば、会社の再雇用で65歳まで働く人もいるでしょう。中には起業家となって70歳、いやそれ以上働く人もいるかもしれません。しかし、長いセカンドライフを有意義なものにするためには、仕事だけでなく趣味も大切です。

男性が定年後に始める趣味の典型は「陶芸」「油絵」「山歩き」といわれます。これらは「三大趣味」と呼ばれたりします。私はこうした趣味が悪いなどというつもりは毛頭ありません。いずれもすてきな趣味であり、これらを本当に楽しんでいる人を見るとうらやましく思います。

定年後に始めた趣味は続かない例も

ただ、定年後にこれらの趣味を始めても途中でやめてしまう人が多いというのも事実です。一体どうしてなのでしょうか。

その理由は恐らく「趣味を定年になってから始めた」ことにあるのではないかと思います。そもそも趣味というのは何年かやってみないと本当の面白さはわからない場合が多いのです。

例えばゴルフもそうです。最初は誰でも下手です。一緒にラウンドして大きくたたいてしまうと、みんなに迷惑をかけ、冷ややかな視線に耐えなければなりません。

それが嫌でゴルフをやめてしまう人もいます。実は私がそうでした。でも悔しいと感じたり、何とか上達したいと思ったりする人なら、地道に練習を続けていくことで、突然ブレークスルーするときがやって来ます。

これはゴルフに限らず、楽器でも語学の勉強でも一生懸命続けていればどこかでパーッと目の前が開けるときがやって来るのです。そしてそこから先が本当の面白さがわかるのです。もちろん、その後も壁にぶつかったり、スランプになったりすることはありますが、まずはこのポイントを抜けないことには始まりません。

趣味が合うかどうかは判断に一定の時間

定年前後で趣味を始めて途中でやめてしまう人の多くはこれらの通過点を迎えることなく飽きてしまったり、嫌になったりするのです。趣味というのはやってみなければ自分に合ったものかどうかはわかりません。興味がなくても始めてみたら面白かったという場合や、逆に面白そうだと思って始めたけどどうも今ひとつということだってあります。

いずれにしろ、趣味の合う合わないは一定の時間をかけて判断しなければなりません。もし合わない趣味だったら、セカンドライフの貴重な時間を浪費しかねません。幸運にも現役時代から趣味を持っている人は定年後もそれを続ければいいと思います。むしろ時間がたっぷりある分、それまで以上に積極的に活動することができるでしょう。

でも、もし全く趣味を持っていない人なら(こういう人は意外に多いのです)、いきなり定年になってから始めるのではなく、定年になる5年とか10年ぐらい前から取り組んでみることをお勧めします。なぜなら、それくらいから始めると、ちょうど定年を迎える頃に本当の面白さがわかってくることになるからです。

再雇用で働きながら趣味を見つける手

残念ながら全く無趣味で定年まで来てしまったという人だっているでしょう。だからといって焦る必要はありません。一つの手は再雇用で働きながら、その間に趣味を始めることです。再雇用での働き方は現役時代と違ってストレスも残業も多くはありません。比較的ゆったりとした働き方ができるはずです。その5年の間に自分に合った趣味を見つけることは十分に可能です。

これだとお金は稼げるし、趣味は見つけられるしで一石二鳥でしょう。そうしておけば、仕事を辞めても趣味によって「自分の居場所」をつくることができます。

働くにせよ、趣味に生きるにせよ、この自分の居場所が会社という組織を離れた人にとって最も大切なことです。「なんとなく」「誘われたから」という理由だけで安易に「定年後の三大趣味」に飛びつくのではなく、早くから自分に合った趣味探しを始めてみましょう。一生の趣味はとても大切なものですが、すぐには見つからないのですから。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は10月5日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年男子 定年女子 45歳から始める「金持ち老後」入門!」(共著、日経BP)など。http://www.officelibertas.co.jp/
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