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「終活」に意欲、8割超す デジタル遺品の悩みも 読者アンケートより

2017/9/9

 財産の整理や墓の準備など終末や死後について自ら考えて備える「終活」。その取り組みを読者にアンケートしたところ、経験があるか準備中という人が全体の3割で、いずれしたいとの回答を合わせると8割の人が終活に意欲的だった。「セミナーに参加したらかなりの人数が集まった。思った以上に終活について考えている人が多い」という書き込みもあった。終活の実態を主にお金や財産に関連する回答から見ていこう。

 調査は日経生活モニターに登録する人を対象に8月3日にかけて実施した(有効回答528人、60歳以上)。

 終活の内容で最も多かったのは「エンディングノートの執筆」だ。ノートは書き込む項目は多いが、後に残る家族らに重要なのは万が一のときの連絡リストと財産の状況だ。「連絡先と預貯金の一覧表だけは書いた」(愛知県の女性、64)、「銀行口座や証券、保険などを伝えておかないと幽霊口座になりかねない」(兵庫県の女性、65)との回答があった。

 エンディングノートには書かなくても、財産の一覧や目録をつくるのは重要だ。親がどこの金融機関とどんな取引をしているのか知らない家族は多いだろう。これらは相続などで役に立つ。「どこに何があるか、連絡先はどこかなど分かるように書面に記入している」「財産の一覧をつくり、取引の都度更新している」という準備万端整えた人や、「財産目録をつくって銀行の貸金庫に預ける」という75歳の男性もいた。

 次いで多かったのは「自分のためのお墓や埋葬の準備」「終活関連のセミナーや勉強会に参加」だ。「墓じまい」や「生前・遺品整理」など近年話題の取り組みも目立った。実家の墓をどうするかで悩んでいる人は多い。田舎の墓を整理して自宅の近所に移したという神奈川県の男性(75)は「高級車を1台買えるぐらいの費用と、かなりの時間と手間がかかった」とぼやいていた。

 実家の処分についての回答もあった。すでに済ませた人は「空き家だった実家を苦労の末、売却した」(宮城県の女性、74)、「田舎の不動産は売れないので、家の取り壊しから土地の売却まで大変だった」(大阪府の男性、65)と振り返る。処分を考える人は「田舎に無人の実家がある。売りたくても買い手がつかず頭が痛い」(千葉県の女性、62)と答えており、空き家問題の深刻さが垣間見える。

 断捨離は金融取引にも及ぶ。「預金口座を減らす」という静岡県の女性がいたほか、「カード類を整理する」(千葉県の男性、63)などの答えがあった。「ネット証券やネット銀行を整理し、銀行口座も2つに絞り込みたい。保険証書もまとめておく」と、具体的な手続きを挙げた女性もいた。

 自由回答で特に多かったのは、パソコンなどに保存する写真やメール、アクセス時に必要なパスワードといった「デジタル遺品」に関するものだ。「写真やブログなどの整理の仕方を知りたい」「ネット上のIDやパスワードの扱い、パソコン上の見られたくない情報をどうするか」などと取り扱いに悩んでいる様子がうかがえる。金融取引もデジタル化が進んでおり、デジタル遺品は終活の新たなテーマになっている。

[日本経済新聞朝刊2017年9月2日付]

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