ブタ鼻でモグラのような暮らし 新種カエルの珍生態

日経ナショナル ジオグラフィック社

とがった鼻、小さな目、ずんぐりした四肢。いずれの特徴も、一生の大半にわたる地下生活への適応に役立っている(PHOTOGRAPH BY JEGATH JANANI)

たいていの種のオタマジャクシは、水たまりや池の中など流れのない水の中で泳いで過ごす。一方、ブパティ・インドハナガエルのオタマジャクシでは、独特の下向きの平たい口(口盤)が発達する。この奇妙な口を使って、大雨が作り出す滝のような流れの裏側で岩に吸いつき、小さな歯で藻類を食べる。

「岩にぶら下がったオタマジャクシは、このような激流の中で約120日過ごします」と、論文の共著者で生物学者のカーティケヤン・バスデバン氏は話す。氏はCCMBでアガーワル氏の同僚でもある。

「彼らの一生の全期間を通じて、最も長く地上で過ごすのはこの期間です」とバスデバン氏。幼生の段階を終えると、ブパティ・インドハナガエルは広い世界に別れを告げ、地中での秘密めいた新生活をスタートさせる。

最も近縁な種はアフリカに近い離島に生息

「カエルの適応能力は素晴らしい。このカエルはその証拠です」。オーストラリア博物館でカエルを専門に研究する生物学者で、ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーである、ジョディ・ローリー氏は話す。ローリー氏は今回の研究には関わっていない。

ローリー氏によると、乾燥の時期を生き延びるため土に穴を掘れるカエルは世界中にいる。しかしブパティ・インドハナガエルは、一生のほとんどを地下で暮らす方法を見出したことで、その生き方を極限まで発達させたとのことだ。

また、この発見はとりわけ面白いとローリー氏は言う。最も近縁なグループがとても遠くに生息しているからだ。

「2種のインドハナガエルは、他の種から独立し、長い時間をかけて進化してきました」とローリー氏。「この属に最も近いカエルは、インドではなくセーシェルにいます。インドよりもむしろアフリカに近いところです」

いずれの点でも、人間のカエルに関する知識がいかにちっぽけかを今回の新種は教えてくれる。

「カエルはこの惑星で最も危機的状況にある生き物の1つです。知られているカエルの種の42%が絶滅の危機にあります。にもかかわらず、どれだけのカエルやその他の両生類がいるのかさえ、私たちはまだ知らないのです」とローリー氏は言う。

実際、ローリー氏によると、毎年100種を超すカエルの新種が科学誌に発表されている(発見されている数はずっと多いが、正式に記述するには時間も手間もかかる)。そしておそらく、ブタ鼻の不思議なカエルは、次世代の若い生物学者たちを刺激するだろう。

「素晴らしいこの世界には、びっくりするような生き物がいます。ですから、この朗報をみんなで祝福すべきです」とローリー氏は語った。

(文 Jason Bittel、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年8月29日付]

ナショジオメルマガ
注目記事
ナショジオメルマガ