腕時計型端末3選 消費電力やディスプレーなどに魅力
使い心地と独自性に磨き
最近、何かと話題に上るスマートウオッチ。しかし使ってみるとがっかりするものも多い。今回は数あるリスト・ウエアラブルギアの中で、使い心地がよく、ユニークな機能を持ち、大人がはめてもおかしくないものをピックアップして紹介する。
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リスト・ウエアラブルギアといわれる製品群がある。腕時計を含む手首につけるギアの総称であり、話題のスマートウオッチもその一つだ。多くの場合、スマートウオッチは、スマートフォン(スマホ)が近くにある前提で設計されている。本当は、スマホの機能を全て取り込み、スマホを持ち歩かなくても済むのが望ましいのだが、現段階の技術でそこまでの対応は無理なのだ。
特に問題なのはバッテリーとディスプレー。スマホのように自在にネット接続させると、ウオッチの電池は24時間持たない。またディスプレーも小さいので見えにくい。
問題は機能だけではない。街を歩いても、同じ腕時計をしている人にはまず出会わないもの。時計は身につけるファッションの代表で、好みはそれぞれだからだ。スマートウオッチのデザインは少ない。スマートウオッチがリスト・ウェアラブルギアの主流になるのは、まだまだ先のようだ。
軽くて細身 睡眠中も装着
しかし、いろいろなメーカーが、この分野に参入しており、機能とファッション性を両立させようとしていることも事実。その中で、スマホなしでも使え、ユニークな機能を持ち、ファッション性に富んだリスト・ウエアラブルを紹介したい。
米フィットビットのAlta HR(アルタ エイチアール)。フィットビットは世界でも代表的なヘルス・ウエアラブル・メーカーだ。今年4月に発売されたAlta HRは、最新版だが同社の技術が全て入ってはいない。しかし最も使いやすい、洗練されたヘルス・ウエアラブルだ。
機能は大きく分けて、活動量計(歩数、距離、消費カロリー)と、脈拍測定による精度の高い睡眠計だ。睡眠を見直す時、必要な自分の眠りが正確に分かる。軽く、細身なのがいい。寝ている時もつけるので、重いとかなり負担だからだ。健康データはスマホで確認する。
フィットビットは現在、活動や睡眠に関する世界最大級のビッグデータを持っているため、精度も信頼十分である。体重など計測できない健康データは自分の手で入力するか、他のヘルスケアアプリから取り込めるので自分の健康記録としても優れている。替えベルトの種類が豊富であるのもうれしい。
続いては、ソニーのwena(ウェナ)。最大の特徴は、電子機能がすべてベルト内に収められていることだ。ベルト取り付け部の幅が22ミリメートルの時計の多くに装着することができ、好みの時計をスマートウオッチ化できる。電子マネー機能やスマホにメールなどが到着した時のお知らせ機能、そして活動量計の機能がある。実際これだけあれば用は足りる。便利なのは電子マネー。楽天Edy、ヨドバシカメラゴールドポイントカード等が対象だが、スマホより使い勝手がいい。連続使用は約1週間。
開発者は大の時計好きで、時計とバングル型のデジタルデバイスをつけている時、一緒にできないかと思ったことが始まりだそうだ。電子マネー(楽天Edy)機能だけのレザーベルトタイプも秋口に発売される。電池をなくしたため、単機能になる。
電波なくても地図とGPS
最後はカシオのスマート・アウトドア・ウオッチ、プロトレック・スマート。G-Shockシリーズで名高いカシオのアウトドア用のブランド「プロトレック」のスマートウオッチ・バージョンである。しかしアウトドアでは、スマホの命ともいうべき、電波が来ないことが多々ある。そうなるとグーグルマップ他の地図が使えなくなる。プロトレック・スマートはそんな場所でも、地図と全地球測位システム(GPS)が使え、さらに自分のたどったコースの履歴も分かる。
ディスプレーがスマホより小さいが、使いにくさはなかった。むしろ、楽なところもある。もとから装備されているアウトドアに必要な温度、気圧などのセンサーはそのまま。消費電力削減は、カラーと白黒の2層液晶で対応。必要がない時は白黒液晶を使用する方式だ。GPSも6分ごとの間欠測位にする等、バッテリーを持たせる工夫がなされている。
(生活家電.com主宰 多賀 一晃)
[日本経済新聞夕刊2017年9月2日付]
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