その企業が商品開発を行い、今まで世の中になかった素晴らしい商品が誕生することになれば、世界はより豊かになります。アップルのアイフォーン(iPhone)やトヨタ自動車のプリウスは人々の生活を豊かにしたことで企業が成長しました。
「ユニクロ」のファーストリテイリングやニトリのように「質は高いが値段は安い」という商品を提供する企業も世界を豊かにしますが、これも投資する人があってこそ成長のチャンスが得られるのです。
企業の成長はそこで働く社員も、取引先企業も豊かにし、企業の株価も押し上げます。また、企業は利益が出たら配当を株主に行います(東証1部上場企業の配当利回りは平均1.6%ですから、年0.01%の定期預金と比べればこれは大きな収益です)。投資を通じて世の中が豊かになる手伝いをしたことで、最終的にあなたの懐も豊かにすることになるわけです。
あなたの「推し」が企業を育てる
日本ではこうした視点での投資教育があまりなされていませんでしたが、誰でも投資を通じてその世界の成長の仕組みに参加することができます。
好きなアイドルをプッシュすることを「推し」といいますが、自分の「推し」を決めて投資先を選ぶことができるのも投資の良いところです。
どんな企業、どんな世界を応援するか、あなたは選択することができます。個別銘柄を選んだり、上場投信(ETF)であれば「日本」「インドネシアやブラジルといった新興国」など地域を選んだりすることもできます。「IT(情報技術)系はまだ伸びる」「電力やガスなどのインフラは社会に欠かせない」といったように業種を選んで投資をすることもできます。
悪い投資家やずるい投資家がニュースになるのはむしろ、ルールを破った人がきちんと罰せられていることでもあります。
日本では証券会社や銀行がこれまで自社の利益を優先し、手数料稼ぎの目的で投信の短期売買を勧めるなど、顧客軽視ともいえる姿勢が批判されてきました。こうしたことも投資の悪いイメージにつながっていたと思われますが、最近は金融庁が顧客の利益を最優先にする「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」を求めており、姿勢の変化が期待されます。
まずは「投資は悪いこと」「投資はずるいこと」というイメージについて発想を逆転してください。あなたのお金に対するビジョンは大きく広がってくるはずです。
