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立川談笑、らくご「虎の穴」

顔は真っ青で手は震え… 困った!僕の彼女は落語嫌い 立川笑二

2017/9/3

PIXTA

 師匠と兄弟子の吉笑とともにリレー形式で連載させていただいている、まくら投げ企画。27周目。今回の師匠からのお題は「困った話」。

高座に上がる立川笑二さん(東京都武蔵野市) 

 この連載で何度か書いたことがあるが、私には高校2年生のころからかれこれ10年近く付き合っている彼女がいる。そして、この彼女が大の落語嫌いで困っているのだ。

 そもそも、彼女が落語嫌いになった原因は私にある。私が上京し落語家になって間もないころ。沖縄と東京という遠距離で付き合っていた私たちのコミュニケーションはもっぱら電話であり、私はその電話で毎日のように覚えたての落語を彼女に延々と聞かせていたのだ。

 一番最初に覚えた「道灌」という落語は50回じゃきかないぐらい電話越しにしゃべったと思う。後に彼女は「修業中の人間の落語を聞かされるのが、何よりもつらい修業であった」と語っている。この時期に、彼女の中では落語嫌いの心がむくむくと育まれていたらしい。

 そして決定的なとどめを刺したのは、彼女が就職活動で東京に出てきたときのこと。東京に知り合いがいない彼女は就職活動期間として設けた3カ月の間、私の部屋で同棲(どうせい)することになった。そこで毎晩のように、逃げ場のない四畳半の部屋の中、夜通し、差し向かいで落語を聞かせた結果、同棲を始めて1週間もたたないうちに発狂した彼女は

 「もし何かの間違いでお前が売れたとしても、そこに私の犠牲があったことを忘れるな!」

 と言い残し、マンスリーマンションへと去って行ってしまったのだった。

 その後、どうにか仲直りすることはできたのだが、それは私が「落語の話は一切しない」という条件を承諾したからである。

 そういう経緯で、私の彼女は落語嫌いになってしまったのだ。全くもって遺憾である。しかし、その条約が締結された3年後。埼玉の企業に勤め始めた彼女は、私の落語を聞かざるを得ない状況に陥っていた。今回はその時のお話。27投目!えいっ!

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