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知って納得 「ストレスチェック」と「健診」の違い

こちら「メンタル産業医」相談室(13)

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

こんにちは、精神科医で産業医の奥田弘美です。残暑が続く毎日ですが、朝夕に秋の気配が漂い始めました。あなたの心と体はお元気でしょうか? 今回は、「ストレスチェックの活用」をテーマにお伝えしたいと思います。

労働安全衛生法が改正となり、2015年12月1日から従業員50人以上の全事業場に対してストレスチェック実施が義務付けられました。ストレスチェックは、簡単に言うと「心の健康診断」です。働く人にうつ病をはじめとするメンタル不調が急増していることから、厚生労働省の肝煎りでスタートした制度ですが、2016年に会社から言われるままに何となくストレスチェックを受けたという人も多いことでしょう。2017年もすでに2回目のストレスチェックを受検したという人もいると思います。

さて読者の皆様は、このストレスチェック制度の仕組み・特徴をきちんと理解されて受検しているでしょうか?

先述したとおり、ストレスチェックは「心の健康診断」です。しかし従来会社で行われてきた「体の健康診断」と大きく違う点が2つあります。それは「受検するかしないかは社員の意思に任されている」そして「ストレスチェックの結果は会社には知らされない」という点です。詳しく説明しましょう。

健診結果は会社に知らされるが、ストレスチェックは……

会社が社員に対して行う「体の健康診断」は、社員には必ず受けなければいけない義務(受診義務)があります。またその結果は、法律で定められたデータ(法定項目)に関しては社員の意思に関係なく会社に報告されます。しかしストレスチェックは、社員に受検義務はありません。ストレスチェックを受けるか否かは、社員に選択の権利が与えられているのです。またストレスチェックを受けたとしても、その結果は会社には本人の同意がない限り通知されません。

ストレスチェックの結果を知っているのは本人と、ストレスチェックの実施者(通常は医師もしくは保健師)と実施事務従事者(実施者の事務業務をサポートする担当者)のみです。実施者と実施事務従事者には強く守秘義務が課せられているため、たとえその会社の産業医や社員が担当していたとしても会社に結果を伝えることは禁じられています。ちなみに実施事務従事者は、人事権を持たない社員しか担当できません。

なぜこのような複雑で厳重な仕組みになっているかというと、ストレスチェックを受けることによって会社から不当な扱いを受けるリスクを徹底的に排除するためです。故に会社には「全社員に受検する機会を与える義務」が課せられているものの、健康診断とは違って「結果を知る権利」は与えられていないのです。

このストレスチェックの特殊な仕組みは、受検する社員側にも従来の健康診断とは違った意識改革を要求しています。一言で言うと、「ストレスチェックは基本的には自己責任で取り扱う」ということです。「体の健康診断」との違いとともに、具体的に解説しましょう。

「高ストレス」という結果でも、会社が何もしてくれないワケ

まず従来の「体の健康診断」の結果は自動的に会社に知らされ、会社にはその結果を産業医に見せて意見をもらい、「健康診断実施後の措置」を行う義務が課せられています。どのような措置を行うかというと、例えば高血圧や糖尿病が悪化している人には病状を悪化させないために、治療が安定するまで一時的に残業を制限したり、貧血のひどい人には改善するまで立ち仕事や高所作業を免除して危険を予防したりするのです。

つまり社員が何もアクションを起こさなくても、結果が悪い人に対しては、会社が産業医と相談して就業を調整したり、適切な治療を促してくれるのが「体の健康診断」なのです。

一方、ストレスチェックは違います。

もしあなたのストレスチェックの結果が悪くて「高ストレス状態」と判定が出たとしても、その結果は会社には知らされません。

ストレスチェック制度では、高ストレス者が「ストレスチェックで高ストレス状態だったので医師による面接指導を受けたい」と会社に面接を申し込んだ時点で初めて会社が結果を知ることができるという仕組みになっています。

そして医師との高ストレス者面接が実施され、会社側が医師からの意見を聴取したのちに就業上の措置が検討されることになるのです。つまり、もしあなたが高ストレス状態であったとしても面接を申し込まない限りは、業務上のストレスは何も軽減されないということなのです。

本人以外に結果を知っている実施者や実施事務従事者は、高ストレス者に対して「面接指導を受けたほうがいいですよ」と勧奨はします。が、それでも本人が申し込まない場合は何もできません。ストレスチェックに関しては「本人の同意がない限り会社に結果を知らせてはいけない」と守秘義務が厳格であるため、会社に対して意見を伝えることができないのです。

筆者は産業医として約20社のストレスチェックに関わっていますが、この違いをしっかりと認識していないビジネスパーソンが、まだまだ多い気がします。「ストレスチェックを受けて、かなりストレスが高いって結果だったけど、仕事のストレスは何も変わらない」とボヤく人にも出会ったことがありますが、それは当たり前。会社は結果を知らないのですから。もしあなたが高ストレス状態と判定されたのであれば、ぜひ医師の面接指導を申し出ることをお勧めします。

医師の面接指導や、その後の流れは?

通常、高ストレス者の面接指導はその会社と契約している産業医か面接担当医が行います。高ストレス者の面接では、医師は対象者とじっくり対話しながら、ストレスの状況や原因を確認し、医療的アドバイスを行い、必要ならば医療機関への受診を促します。この面接終了後に、会社側は医師の意見を聴取し、必要に応じて「就業上の措置」を検討していくのです。

就業上の措置としては、面接した医師の意見を勘案しながら「業務量の一時的軽減」「業務環境の見直し」「残業や休日出勤の制限など労働時間の短縮」「就業場所の変更」「作業の転換」「深夜業務・出張などの回数の減少」などを検討することが一般的です。ただしこうした措置を決定する際には、対象社員と必ず話し合い、本人の了解を得ながら不利益な取扱いにならないようにしながら実施されます。

不利益な取扱いとは、「解雇」「雇い止め」「退職勧奨」「不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位の変更」「その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置」などが該当します。このような不利益な取扱いは法律で厳しく禁じられているのです。

参考までに筆者が高ストレス者面接を実施したあとに行われた措置を代表的な3つのパターンに分けて事例とともにご紹介しましょう。筆者は2016年の1年間で、約20社で計30人の高ストレス者面接を実施しました。

(1)過重労働など高負荷の業務のために高ストレス状態となっていたパターン

(事例)業務量が多く長時間残業に加え、部下の報告をとりまとめるために連日「持ち帰り仕事」もしていた中間管理職のAさん。過労により胃腸障害やめまいが出現し始めていた。面接後の報告を受け、会社は上長とともに業務量を早急に見直し軽減した。また部下の報告のとりまとめは翌日の勤務内で行うようにルールを変更。Aさんには筆者より医療機関への受診を促し、当面の間は残業を大幅に制限し体調回復を図ってもらうことになった。Aさんの業務量、残業時間とも軽減し、加療により体調も改善した。

(2)人間関係が原因で高ストレス状態となっていたパターン

(事例)半年前に異動した部署の上司からキツい言葉や態度でパワハラ的指導を受け、抑うつ状態や不眠など、メンタル不調の症状が出ていた社員Bさん。面接後の報告を受けて会社はすぐにヒアリングを行い、上司には厳重注意。Bさんには筆者から紹介状を書き、メンタルクリニックを受診してもらったところ2カ月の自宅療養となった。Bさんは復帰後に異動となり、現在は元気に復職している。

(3)会社が知らなかった個人的要因により高ストレス状態となっていたパターン

(事例)学生時代にスクールカウンセラーから「軽い発達障害かも?」と言われたことがあったが、本社での事務部門では問題なく適応できていたCさん。支店に異動後、来客応対や電話対応などマルチタスクを任されることになり、不適応状態に。夜眠れない、来客や電話が来ると動悸(どうき)・吐き気がする、などの症状が出ていたため、筆者より業務内容の見直しと調整を会社に意見した。会社は支店長と相談し、来客・電話対応を免除し、事務仕事のみのシングルタスクに調整したところ症状は改善、再び業務に適応できるようになった。

「高ストレス」者は勇気を出して面接を受けて

筆者自身も2016年は手探りでストレスチェックに関わりましたが、振り返ってみると高ストレス者の面接指導をすることで、隠れていたビジネスパーソンの心の不調が発見でき早期対応につなげることができたと感じています。ストレスチェックの結果、高ストレスという結果が出た方は、ぜひ勇気を出して面接を受けてみることをお勧めします。

繰り返しますが、ストレスチェックは、自分が行動しない限り事態は何も変化しません。ストレスチェックは、体の健康診断と違って「受ける人の自主的な判断と行動」を求める度合いが高い制度です。これからストレスチェックを受ける人は、ぜひこうしたことをしっかり理解したうえで受け、ご自身の心の健康のために積極的に活用していただきたいと思います。次回は高ストレス状態でなかった人でもストレスチェック結果を活用できる方法を紹介する予定です。お楽しみに。

【こちら「メンタル産業医」相談室】

第12回 パワハラは連鎖する! 自称「体育会系」はご用心

第11回 遅い夕食でも太りたくないなら お勧めは「分割食べ」

第10回 太らない人が実践する「3つの食習慣」

第9回 ストレス・疲労に負けない食事 「赤黄緑を1:1:1」

第8回 連休で疲れを残さないコツ 変化はストレスと考える

第7回 「変化疲れ」が五月病の原因に 注意すべきはこんな人

第6回 過労死は「好きで仕事をしている人」にも起こる

奥田弘美
 精神科医(精神保健指定医)・産業医・作家。1992年山口大学医学部卒。精神科臨床および都内20カ所の産業医として日々多くの働く人のメンタルケア・ヘルスケアに関わる。執筆活動にも力を入れており「1分間どこでもマインドフルネス」(日本能率協会マネジメントセンター)、「何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから」(扶桑社)など著書多数。日本マインドフルネス普及協会を立ち上げマインドフルネス瞑想の普及も行う。

[日経Gooday 2017年9月5日付記事を再構成]

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