座右の銘「礼儀正しく紳士たれ」は、栄光学園の恩師に教わった言葉だ。

4月20日に、火災が発生し、原油が流れ出してから約5カ月間止まらなかった。5月初めに、当時の大統領がメキシコ三井物産の100周年をお祝いしてくれるというのでメキシコに出張したら、ほとんどの新聞でこの事故が1面で取り上げられていました。環境汚染ですし、大事故です。もし原油が止まらなかった場合、ペナルティーを考えると、会社はつぶれていました。

止まるまで、精神的にも肉体的にも参りました。汚濁した原油の対策をしたり、被害のあった広い地域の政府や、パートナーだった英BPとうち合わせしたり……。11年5月、ようやくBPとの交渉が決着して、かなりの金額を支払いました。ここを乗り切れたのも現場主義に徹して動くことができたおかげだと思います。

15年、会長になった後も忙しく海外を飛び回る日々が続く。

海外のトップリーダーには、かならず会って話をするように心がけています。ロシアのプーチン大統領や、ミャンマーのテイン・セイン前大統領、メキシコのペニャニエト大統領にも会いました。というのも、商社のビジネスモデルが、貿易から投資にかわってきているからです。ほとんどのトップが会ってくれますね。

海外の首脳やトップのビジネスパーソンに会えば、さらにグローバルな感覚は鍛えられていきます。「百聞は一見にしかず」といいますが、現場に行けば経験値がたまり、将来起きるトラブルに対応できる判断力や決断力がつきます。経験しなければ、判断や決断はできません。大阪にいたころのお客さんとのやりとりも含めて、土台になっているのは事実です。

私は社長時代、入社式で新入社員に向けて心技体バランスの取れた社会人になってほしいと話してきました。知識だけじゃだめで、努力、感謝、謙虚さといった心を大事にしてくれと。振り返ると、栄光の理念は、三井物産のあり方とも重なる部分があると思いますね。

正直、栄光に通っているときは「きついなあ」と思っていましたが、おかげさまでグローバルな働き方もできるようになりました。社長になってから大木神父に会って「今は感謝しています」と話したことがあります。栄光での日々が、今の働き方のもとになっていることは間違いないですね。

(松本千恵)

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