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役者は何でもできないといけない(井上芳雄)

第5回

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NIKKEI STYLE

井上芳雄です。前回までラジオ、ナレーションと今年からしゃべりの仕事が増えたことを話しました。僕はミュージカル俳優が本業だと思っていますが、それだけやっていればいいという考えではありません。松本幸四郎さんがよく「役者は何でもやる必要はないけど、何でもできないといけない」とおっしゃっています。僕もその通りだと思っていて、とても好きな言葉です。今回は、それについて話そうと思います。

今はミュージカル・ブームといわれています。チケットが完売するような公演が増えましたし、人気作のロングランや再演も盛んです。映画でも『ラ・ラ・ランド』や『美女と野獣』が大ヒットして、歌や踊りに世の中の関心が高まっているように思います。

ですが振り返ると、あまり注目されない時期も長かったのです。6~7年くらい前だと、ミュージカル舞台の宣伝をしようにも、できるメディアは限られていました。記者会見には、演劇を扱う媒体の人たちが来てくれるだけで、カメラも1、2台あるかどうか。情報は広く発信されなくて、人知れず静かに上演して、舞台写真もあまり残らずに終わり、見た人だけが「よかったね」と言ってくれるような作品もありました。

僕は17年前、東京藝術大学の学生のときに、『エリザベート』というミュージカルの皇太子ルドルフ役でデビューして、そのままプロになり、ミュージカル俳優としてキャリアを重ね、主役をやらせてもらえるまでになりました。子どものころからミュージカルが大好きでプロをめざし、ミュージカルの舞台で育ててもらった身としては、素晴らしい舞台の数々が世の中に知られないのは、悲しいことでもあります。

そうした状況のなかで、ミュージカルの魅力を知ってもらえるように、自分にできることはなんでもやろう、それが自分の役割でもあるという考え方が強くなりました。

ミュージカルに興味を持つきっかけに

もちろん俳優の仕事として、演技力や感性を磨くことが第一であると思っています。特に主役はそれが大事で、俳優としての実力に引かれてお客さまが来てくれるのだと思います。それだけで劇場がいっぱいになれば言うことはないのですが、そうではないことも多いので、まずは公演があることを知ってもらい、舞台の魅力にふれてもらわないといけない。僕の存在を知ってもらえることが、ミュージカルに興味を持つきっかけになれば、という思いで、活動の幅を広げるようになりました。勝手にミュージカル界の「広報部長」のようなつもりでもあります。

だから、「何でも屋です」というつもりは全然ありません。でも、引き受けた仕事で「こうしてください」と言われたら、何でも対応できるようになりたい。

ストレートプレイの舞台にも出て、トークショーなどにも積極的にかかわり、映画やドラマといった映像や、コンサートやCD制作といった音楽の仕事にもチャレンジしているうちに、活動の場がどんどん広がりました。新しい仕事で得たものが、舞台やほかの仕事に生かされるという好循環も体験しました。そんな自分の経験をふまえて、「役者は何でもできないといけない」。そう思います。

最近は、ミュージカルを取り上げていただけるメディアも増え、以前よりもはるかに注目されているのをひしひしと実感します。ネットの時代になって、情報が広がりやすくなったことも大きいでしょう。僕らミュージカル俳優が、ドラマやバラエティーにひんぱんに呼んでもらえるようにもなり、ありがたく思っています

僕も、今年はNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』に出たり、ラジオやナレーションを始めたりと、また仕事の幅が広がりました。だからこそ、原点であるミュージカル俳優としても、さらに成長していかなければならないと思っています。

歌うことで違う自分を見せられる

ミュージカル俳優は、歌が歌えるのが一番の強みです。一種の変身みたいなもので、歌うことによって違う自分を見せられるのが武器になります。

だから若いころは、僕は歌さえ歌えばいい、歌えば一目置いてくれるはずだというのを心のよりどころにしていたところがあります。でも、今はそう思っていません。歌ってほしいと言われれば、必要なら歌いますが、歌えるからほかのことはできなくてもいいとは全然思わなくなりました。歌えるのは当たり前で、さらに僕にしかできない何を表現できるのかが大事だと考えています。それは演技でありトークであり、歌にしても一層深い表現力です。

ミュージカルの魅力は、理屈じゃない楽しさや感動です。歌やダンスはアピールする力が強いので、初めて生歌を聴いた人は「うわー、すごい歌声だ」となるでしょう。そうやってミュージカルに興味をもってくれた人が、2回、3回と歌を聴いたときに、今度は何に感動してもらえるのか。「この人の歌はこういうところが特徴で、そこがいいんだ」とか「こういう表現をするんだ」といった、奥の深いものも感じてほしいと思っています。

聴くたびに、新しい感動を与えられる表現者になりたい。ミュージカルに注目が集まっている今だからこそ、それを肝に銘じて、歌にも芝居にも取り組んでいます。

井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP社)。自身初のシングル『風のオリヴァストロ』を10月4日に発売。10月12日に「井上芳雄 by MYSELF スペシャルライブ」を東京国際フォーラムにて開催。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第6回は9月16日(土)の予定です。

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