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体スッキリ、緑色のおかゆ スリランカ流「医食同源」

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NIKKEI STYLE

インドやスリランカで受け継がれてきた5000年の歴史を持つ伝統医学アーユルベーダ。東京・蒲田にこのアーユルベーダの理念に沿った料理を出す個性派カフェ「アーユルヴェーダ・カフェ ディデアン」が8月末オープンした。

店主は長年漢方と薬膳を学んできたという山本水絵さん。ある時、アーユルベーダでも漢方と同じ食材が使われることを知り、深く興味を抱くようになったという。アーユルベーダの教えは、食べ物だけでなく、生活の仕方、精神の持ち方など多岐にわたる。

「食事の方法一つとっても一緒に食べる人や空間が大事であるなど、厳格に実践しようとするとなかなか日常生活に取り入れるのが難しいんです。だから、すべてを実践しようとするのではなく、まず取り入れやすいものから体験して、アーユルベーダのよさを実感してもらえれば」と山本さんは言う。

レストランではなくあえてカフェにしたのは、アーユルベーダでは昼食を最も重視し、夜の食事は軽くすませるため。消化を促し、未消化物が体内に蓄積されないようにと考えるからだ。

「アーユルベーダの教えは自然にスリランカの人の身に付いているので、夜でも『ホッパー』のような軽食ですませたりするんですよ」と教えてくれる。ホッパーとは、専用の器具で丸い器のような形に焼いた米粉の薄いクレープだ。

力を入れるメニューは、「キャンダ」と呼ばれるスリランカのおかゆ。雑穀を使ったものなど様々な種類があるが、緑の葉を使ったおかゆである「コラキャンダ」が現地で特に人気があるそう。スリランカにはキャンダの専門店があるのだが、コラキャンダだけを売っている屋台もあるという。

アーユルベーダでは朝食の定番料理で、カレーリーフやホーリーバジルを用いたものなどコラキャンダも多種多様。その中で、「カフェ ディデアン」では最もポピュラーな素材の一つ、ゴツコラ(ツボクサ)を使ったコラキャンダを出す。ゴツコラは漢方でも使われ、山本さんがアーユルベーダに大きく注目するきっかけとなったセリ科の植物だ。

「アーユルベーダで重用されるゴツコラは、毛細血管の血流を改善すると言われているんです。薬膳をやってきて人の健康には血流が一番大事なんじゃないかと思うようになる中、ゴツコラに出会い『これだ』と思って。日本でも簡単に栽培できるんですよ。脳を活性化して記憶力を増進させるとも言われ、インドなどでは受験シーズンになると親がこぞってゴツコラを買うものだから、店頭からなくなるそうなんです」と山本さんは笑う。

店の隅には栽培ポットに入ったゴツコラが置かれていて、生のまま食べてみた。細い茎も小さな丸い葉も、爽やかな緑の香りがして軟らかい。三つ葉の様な味だ。「生ゴツコラは、細かく削ったココナツと合わせて食べたりもするんですよ」と店のスタッフが教えてくれる。

「最近はスリランカの人の生活も変わってきて、若い人はだんだんキャンダを飲まなくなってきているみたいで……」。再び説明を始めた山本さんの言葉に引っかかった。

おかゆを飲む? 「ええ、ガラスのジョッキで飲んだりするんです」。思わず、腰に手を当てながら、毎朝緑色の液体が入ったジョッキをぐぐーっと傾けるスリランカ人のイメージが目の前に浮かんできた。どうやら、日本のおかゆとは随分違う食べ物らしい。

出てきたお店のキャンダのセットを見て合点がいった。おかゆといってもスープのようなのだ。その時々で内容は変わるらしいが、その日のおかゆは、ゴツコラとホウレンソウといった青菜、スリランカでよく食べる赤米を合わせミキサーで液状にしたものだった。

目を潤すような清涼感のある緑色で、ほんの少しコメの粒つぶとした食感も残る。とろっとしていてブイヨンが入っているようなうまみを感じたが、味付けは塩のみ。青汁に似ているが、温かいスープなのでじんわりと体に染みわたる。「米国から入ってきたグリーンスムージーが人気ですが、それより、温かいおかゆの方が日本人の体には合うと思うんですよね」(山本さん)。

よく見ると、キャンダの脇に薄茶色の黒糖のようなものが添えられていた。クジャクヤシの花蜜を煮詰めて固めた「ハクル」と呼ばれるハチミツだ。ほかの甘味料に比べ GI値(グリセミック・インデックス:食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇する速度)が低い、などと店に置かれた解説にあった。

「ホテルの朝食バイキングでもキャンダの脇には必ずハクルが置いてあって、スリランカの人はこれとキャンダを一緒に食べるんです」と山本さんが説明する。どんな味になるのか想像がつかなかったが、塩味のゴツコラキャンダ食べながらハクルをかじってみた。

かすかに酸味のある甘いハクルとキャンダの組み合わせは、おいしいかと問われたら「独特」としか言いようがない。まずいわけではないのだが、一緒に食べても味がそれぞれ独立して混ざり合わない感じがする。

「そういえば……」と、以前スリランカを訪れた際、アーユルベーダのサロン経営者に、ハクルと白檀の葉を合わせた甘い緑色のおかゆのレシピを教えてもらったことを思い出す。あれもコラキャンダだったのか、と初めて気が付いた。キャンダとハクルの組み合わせをおいしく感じられるようになれば、スリランカの食を極められるのかも。

さて、スープのようなおかゆだけでなく、スープそのものもスリランカではポピュラーな食べ物。特に、アーユルベーダでは豆が消化を促すと考えられ、豆のスープをよく飲むという。店のメニューにも、スリランカのアーユルベーダの医師、ワルサイサラナ・ティラーニさんが監修したスープセットがあった。内容は毎月変わるそうだが、訪れた時のメニューはスープとパン、自家製ジャムなどがワンセットになったもの。

その日のスープは、ターメリックやカルダモン、フェヌグリークなどのスパイスを使った緑豆スープだった。それぞれのスパイスには、血液浄化、消化促進、虚弱体質の改善などの効能が期待されると一般に言われているもの。

様々なスパイスを使いながらもおだやかでやさしいカレー風味のスープには、ヒエを混ぜたほんの少し甘みを感じるパンや、ビーツとラズベリーのジャム、澄ましバターのギーに加え、トウガンや黒スグリのトフィー(ミルクと砂糖を煮詰めて作るお菓子)が添えられていた。

ペースト状にしたトウガンを合わせたトフィーは軽い味わいで、黒スグリの酸味が効いている。体をいたわるような内容の料理ラインアップながら、味の変化を楽しめるメニューだ。

一方、アーユルベーダに基づいた料理ばかりでなく、純粋にスリランカの食も楽しんでもらいたいと、店には豪華アフタヌーンティーのメニューもある。こちらも内容はその時々で変わるとのことだが、その日はトマト風味の豆スープやスリランカでポピュラーな軽食やお菓子が2段重ねのスタンドに載り、セットになって出てきた。

出色は山本さんが「スリランカ点心」と呼ぶ軽食の数々。スタンドに載っていたのは「パティス」と呼ばれるスリランカ流揚げ餃子、揚げたクレープ包みの「ロールス」、「カツレツ」と呼ばれる魚を使った丸いコロッケだった。いずれも、かつて宗主国であった英国の影響を受けた食べ物だという。

カツレツはマグロやカツオを使った魚介類のコロッケ。パティスやロールスの具材は色々で、出てきたパティスにはゆで卵や野菜、ロールスにはスパイシーな牛ひき肉が入っていた。カリっと揚がったロールスの生地はヒヨコ豆を使った自家製クレープ生地で、揚げ物ながら、豆を多用するアーユルベーダの食の味わいに通じるやさしさを感じる。山本さん自慢の一品だ。

例年にない湿度と温度変化に悩まされた今年の夏。世界最古の医学と言われるアーユルベーダで、疲れた体をすっきり整えてみては?

(フリーライター メレンダ千春)

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