筆記具同様、それを持ち、それを使う楽しさも製品の重要な要素となっているのだ。
木や和紙のペンケースも登場
ペンケースの進化は素材にも波及し、ストーリオの「AvanWood 万年筆ケース」のような木製の万年筆ケースも登場する。いわゆる「木製」のイメージからは逸脱する、クールでスタイリッシュな筆記具用ハードケースだ。一本用から三本用まで用意され、かばんの中などで万年筆を確実に守る木製ケースは、しかし曲げ木の技術を応用した、スリムでコンパクトな外観。金属部品を使わずに、しかし筆記具の出し入れ時にはカチッと、蓋が開閉する音がする、安心とカッコ良さを両立させたケースだ。

その一方でSIWAの「SIWA ペンケース」のような、和紙で作られた1本用のペンケースもある。昔ながらの上ファスナー型のケースなのだけれど、和紙の素材感が高級筆記具にも似合うのだ。軽く、シンプルなので普段使いの一本を持ち歩くのにも似合うし、高級筆記具を入れるのにも似合う。使う側の気分によって見え方が変わる希有なペンケースなのだ。

筆記具の選択肢が増えている現在、普段使いの筆記具を一本に絞るのも難しくなってきた。現在のペンケースの盛り上がりは、「筆記具を持つ」ことが、生活や仕事での必要性を増しつつある証拠なのだろう。
納富廉邦
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、カバンや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人カバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。講演、テレビやラジオの出演、製品プロデュースなども多く手がける。
佐賀県出身、フリーライター。IT、伝統芸能、文房具、筆記具、革小物などの装身具、カバンや家電、飲食など、娯楽とモノを中心に執筆。「大人カバンの中身講座」「やかんの本」など著書多数。講演、テレビやラジオの出演、製品プロデュースなども多く手がける。