FASHIONOMICS

工場と消費者を直結 Made in Japan の復活めざす ファクトリエ代表 山田敏夫氏

2017/9/1

ファッションを経済の視点から読み解き、ファッション産業のイノベーション(革新)の波頭を探る「FASHIONOMICS」。第1回はメード・イン・ジャパンにこだわり「工場直結ファッションブランド」をうたう衣料品通販サイト「ファクトリエ」を取り上げます。




2012年設立のライフスタイルアクセント(熊本市、山田敏夫社長)が運営するファクトリエの特徴は、技術力のある国内工場と提携した「工場直販」。商社や卸などの中間業者を排することで、商品の価格を抑えると同時に、工場が適正な利益を確保できるエコシステム(生態系)の確立をめざしている。

品質と価格が評価され、事業規模は急拡大。売上高は非公表だが会社設立以来、毎年2~4倍のペースで伸びており、経常黒字を計上しているという。提携する工場数も当初の6工場から50工場(2017年8月21日現在)にまで大きく増えた。

山田社長は1982年、熊本市にある1917年創業の老舗婦人服店の次男として生まれた。大学在学中、グッチのパリ店に勤務した際、「日本にはなぜブランドがないのか」と同僚に問われたことが起業の原点となった。

「ものづくりからしか本当のブランドは生まれない」。山田社長のこうした確信とは裏腹に、衣料品の国産比率は低下する一方だ。経済産業省によると、1990年に約15兆円だった衣料品市場規模は2010年に約10兆円にまで縮小。国産比率も90年代初めの50%から、これまでに3%へと低減した。

しかし国内には、世界的な有名ブランドから製造を請け負う工場も少なくない。山田社長らは全国500以上の工場を訪問して、高い技術力を持つ工場と提携。工場が不得手とするデザインや販売など、製造以外の部分をファクトリエが担う仕組みとした。ミッションとして掲げるのは「世界から評価される『メード・イン・ジャパン』の復活」だ。

ただ課題もある。実際の商品を手にとってもらえる機会が少ないというネット通販ならではの悩みだ。試着のための直営「フィッティングスペース」を東京・銀座など全国4カ所に設けたほか、企業に出向いて商品を紹介する「出張ファクトリエ」という取り組みも進める。認知度向上はこれからだ。

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