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1Q84の舞台 夏の終わりに巡る千倉の海と美術館 水津陽子のちょっとディープ旅

2017/8/31

丘の上に立つ「海岸美術館」。森と庭園に囲まれた空間で時を忘れる

 仕事に追われ、余裕がなくなってきたなと思うとき、どこか近場で優雅な時間を過ごしたくなりませんか。観光ではなく、ストレスオフとリフレッシュのために。電車やバスでふらりと出掛けられる海のリゾートをご紹介します。

■海から昇る朝日を一望

 千葉県南房総市千倉町は房総半島の南端にある町。白い砂浜が約400メートルにわたって続く千倉海岸には南千倉海水浴場があり、真夏には家族連れやサーフィンを楽しむ人でにぎわうスポットです。

 温暖な気候に恵まれた千倉町は漁業と花の栽培が盛んで、新鮮な海産物や南房総でとれたフルーツが充実。千倉にはそんな食の幸を楽しめるホテルや民宿、カフェなどがたくさんあります。

南国ムードあふれる千倉海岸のオーシャンビュー(写真:サウンド スウェル リゾート)

 少し人影が少なくなった夏の終わりのオーシャンビューを、独り占めするために海岸沿いへ。南千倉海水浴場の目の前にあるサウンド スウェル リゾートは、4カ所の海外リゾート地をイメージしたインテリアの、4組限定のホテルです。バリをイメージした客室は、天蓋付きのベッドや浴室から海が一望でき、海に昇る朝日も眺められます。

(左)バリをイメージした客室。天蓋付きベッドとバスルームからは海を一望できる(写真:サウンド スウェル リゾート)(右)タイル使いがかわいいバスルーム。ガラスの仕切りの向こうにはライティングデスク

 カリブ海をイメージした客室からは海に沈む夕日が楽しめます。寝室とリビングが分かれた離れタイプの客室は地中海のイメージ。ファミリーでの利用も可能です。部屋から海を眺め、ティータイムやおしゃべりを楽しんだり、気が向いたら海岸線を散歩するのもいいでしょう。

 千倉は村上春樹の『1Q84』の舞台の一つになっています。2009年に発売され、各国語に翻訳されている大ベストセラー。普段なかなか読書の時間がとれない人も、波音をBGMにハルキワールドにどっぷりとつかってみては。

 夕食はイタリアンのコース料理か、お刺身御膳を選べます。お刺身御膳はお刺身の船盛やサザエのつぼ焼き、海鮮あら汁など、その時々で旬の地魚料理が用意されます。朝食はフルーツとフレンチトーストなどの洋食プレートを楽しめます。

(左)夕食のお刺身御膳。ボリュームたっぷり (右)朝食のフレンチトーストとフルーツのプレート

 海岸沿いに南下すれば、徒歩数分で千倉漁港に到着します。とれたての海の幸をその場で味わえるのが朝市。毎月第1・第3日曜日に「ちくら漁港朝市」が開催されています。伊勢エビやサザエ、アワビなど高級食材の数々が当然のことながら現地価格。地元の特産品や総菜、お弁当や移動コーヒーショップなども出店。買ったものをその場で炭火で焼いて食べられる「海鮮バーベキュー」が人気です。

高級食材を惜しげもなくその場で焼いて味わう。千倉漁港の朝市のバーベキュー(写真:南房総市)

■美しい庭園やカフェも魅力 丘の上の「海岸美術館」

 せっかく千倉まで来たら、立ち寄りたい場所が他にもあります。千倉駅の南西、約2.6キロメートルにある「海岸美術館」は、写真家の浅井慎平氏の作品を集めたプライベート美術館。海岸美術館といいながら美術館は小高い丘の上にあり、桜の名所としても知られる千倉総合運動公園の近く。柏尾堰(せき)に面して立っています。

 こんもりとした緑の森に囲まれ、江戸時代からあるという水源の水面は鏡のように静かで、独特の造形美を有する美術館建築を映し出しています。アプローチには花や緑があふれ、チョウの姿も見られます。

 印象的な入り口の石の門をくぐるとエントランスの上に渡り廊下があり、受付から展示室に入って順路に沿って進むと、渡り廊下から美術館を見渡すことができる仕掛けです。

展示室は2階の渡り廊下から隣棟につながっています
海をイメージした展示スペース。眺めていると時間を忘れます

 展示室はゆったりして静かな空間。中庭には海をイメージした展示があり、椅子に座ってぼんやり眺めていると時間を忘れます。普段いろいろなものに追い立てられて張り詰めている神経が少しずつ緩んでいくようです。

美術館のもう一つの魅力が庭園。ゆったりくつろげる

 美術館のもう一つの魅力が奥に広がる庭園。手入れが行き届いた緑あふれる庭園にはさまざまな花が咲き競い、ユニークなモニュメントなどのアート作品も置かれています。疲れたらギャラリー・ショップでティータイムも楽しめます。

 千倉漁港と海岸美術館のちょうど中間あたりには、日本で唯一の料理の神様をまつる「高家(たかべ)神社」があります。とても珍しい神社で、飲食関係者の参拝も多いそうです。この機会に、料理の上達を祈願してみては。

 高家神社で年に3回(春秋の例大祭、11月23日の新穀感謝祭)奉納される「庖丁式」は、日本料理の伝統を今に伝える厳粛な儀式。機会があればぜひ見てみたいものです。

日本で唯一、料理の神様をまつる高家神社(写真:南房総市)
水津陽子
 合同会社フォーティR&C代表。経営コンサルタント。地域資源を生かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究などを行う。

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