こんにちは。ライターの大宮冬洋です。働いて自立している30代・40代の独身女性を訪ね歩き、恋愛と結婚について語り合う連載「キャリア女子ラブストーリー」にようこそ。
今回登場してくれるのは公務員の村田亜紀子さん(仮名、34歳)。東京・丸の内にあるイタリア料理店でランチをご一緒にしながら話を聞きました。前菜があまりにおいしそうなので「白ワインでも飲みますか」と声を掛けると、亜紀子さんは「飲みましょう」と即答。かなりいける口ですね……。
大学院卒の経歴を持つ亜紀子さん。院生の大半が男性だったとのこと。細身で色っぽい笑顔が印象的な亜紀子さんは大いにモテたのではないでしょうか。
「誘われてデートしたことはあります。でも、ちゃんと付き合った人はいません。それほど好きになれなかったので断っていました」
現在の勤務先に入ったのは20代半ば。新人研修中に知り合った同期の男性と飲みに行き、その場で「オレと付き合わない?」と告白されたこともあります。しかし、亜紀子さんは「嫌じゃなかったら取りあえず付き合ってみる」というタイプではありません。同じコミュニティーの中で親しくなり、安心感を覚えながらゆっくりと好きになっていきたいと語ります。兄と弟がいて、それぞれと一緒に飲みに行くほど家族仲がよいとのこと。亜紀子さんは恋愛よりも結婚に向いているのかもしれません。
「兄は結婚していて子どもが二人います。でも、母は娘である私の子どもが見たいようです」
20代半ばまでは「そのうち結婚するのかな」と思っていた亜紀子さん。20代後半は転職を模索していたこともあり、恋愛や結婚どころではありませんでした。30歳を過ぎた頃、転職熱は下がり、公務員としての仕事が充実し、多忙になります。毎晩のように午後9時すぎまで残業をする日々。
アラサーの独身女性の場合、この状況はちょっと注意が必要です。仕事が面白くて忙しくなると、プライベートにあまり目が向かなくなる一方で、職場での人間関係が濃くなり過ぎるからです。具体的に言うと、ワーカホリック気味の男性から口説かれる機会が多くなります。
憧れの上司と気まずい関係に
働く男性にとって、まだまだ若くて美しく、なおかつ仕事の苦労と喜びも分かち合えるアラサーの同僚女性は大変に魅力的です。場合によっては、学生っぽさが残っていた20代前半の頃よりモテたりするかもしれません。しかし、あなたが尊敬できるぐらい仕事に打ち込んでいる男性の中には既婚者もいて、家庭よりも職場に居心地のよさを見いだし、あわよくば恋愛もしたいと思っている人もいます。貴重なモテ期を既婚者相手に浪費してしまう危険性も高まるのです。
亜紀子さんも例外ではありませんでした。なんと3人連続で、同じ職場の既婚男性からアプローチを受けたそうです。最初は3年前の春、異動前の職場にいたときのことです。
「12歳年上の上司と初めて飲みに行きました。最初は向かい合わせで飲んでいたのですが、トイレから戻ってきた上司が私の隣に座り、いきなり私にキスをしたんです。憧れの上司だったので嫌悪感はなかったけれど、家庭を大事にしている人だと思っていたので、そんなことをされてちょっと嫌いになりました」
職場でも気まずい関係になったと言う亜紀子さん。仕方のないことですね。このような事態を防ぐためには二人きりで夜にお酒を飲む状況は避けるべきでしょう。
人とお酒を飲むのが大好きな亜紀子さんは、そこまで行動を改めることはありませんでした。むしろ「いきなりキスをされちゃったけれどちゃんと断ることができた」ことで自制心を過信し始めます。
二人目の刺客も以前の職場でした。1歳年下のやはり既婚男性です。残業続きの毎日でストレスがたまった亜紀子さんたちは「飲まないとやってられない!」と週に3、4回も二人で飲みに行っていたそうです。恋人以上の頻度ですね。
「この人からはストレートに告白されました。新婚さんだったのですが、結婚生活があまりうまくいっていなかったようです。でも、既婚者は嫌だと断りました。その後、彼は本当に離婚をしたそうです。離婚前から新しい彼女がいたという噂もあります」
デートのような酒席は楽しみつつも、不倫関係に陥ることはなかった亜紀子さん。しかし、三人目でついに陥落してしまうのです。続きはまた来週。
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て02年よりフリーに。著書に「30代未婚男」(共著/NHK出版)、「バブルの遺言」(廣済堂出版)、「私たち『ユニクロ154番店』で働いていました。」(ぱる出版)など。電子書籍に「僕たちが結婚できない理由」(日経BP社)。読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京・愛知・大阪のいずれかで毎月開催中。
ライター大宮冬洋のホームページ http://omiyatoyo.com/
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