「管理職はイヤ」は通用する? 現場大好き社員のワナ20代から考える出世戦略(15)

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「課長になりたくありません。だから出世しなくてもいいです」

そんな意見も今や一般的です。でもちょっと待ってください。そもそも誰が管理職の方が偉いなんて決めたのでしょう。

実は最近の人事の仕組みからいえば、出世=管理職になる、ということではなくなりつつあります。プレーヤーのままでも出世できる会社が増えています。

ただしそれには条件があります。

夢はノーベル賞です、という気鋭の社員

「最先端の研究を会社のお金でさせてくれるというからこの会社を選んだわけです。もし管理職になんてなったら、社内調整や書類整理とか雑事で研究ができなくなるでしょう。だから絶対に昇進なんてしません」

かたくなに昇進を拒否する研究開発部門の気鋭の中堅社員に、困り果てた役員から相談を受けたのは、残暑の頃でした。なんとか彼に管理職昇進試験を受けるように説得してほしいとのことでしたが、コンサルタントは経営層のお悩み相談センターではありません。当初は丁重にお断りしていたのですが、それだけ尖った人材なら会って話を聞いてみたいと思いました。そして本当に優秀な人物なら、そのための人事制度も変えるべきではないかとも思って、会わせていただくことになりました。

役員を通じての面会ですから、もちろん最初は警戒心でいっぱいです。そして口を開くや否や前記の言葉。昇進を勧められすぎて、かたくなさを増しているようにも思えました。そこで別に昇進を進めに来たわけではないということを伝え、おまけに役員のモノマネもして笑いを取った上で、どんな将来キャリアを描いているのかを尋ねてみました。

「あこがれは山中伸弥教授です。ジャンルは違えども、研究成果で歴史に貢献したい。そして僕もノーベル賞をとりたい。だからこそ金にならない研究がしたいんです。この会社なら、それだけの懐があると思って入ってきました。それでいいって今までは言ってくれてたはずです。なのに今年になって管理職になれとか意味がわからないです」

山中教授があこがれというのはわかります。でもその理由は研究者だから?

「そうです。研究に人生を捧げようとしている姿に感動します」

でも……山中教授は管理職ですよ? iPS細胞研究所の所長ですが。

「……え?」

iPS細胞研究所のホームページを見てみると、組織図にのっています。所長であることに加えて、未来生命科学開拓部門の部門長でもいらっしゃるみたいですね。

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