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防災に女性の視点 地域とのつながり生かす

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NIKKEI STYLE

いつ起きるか分からない大災害への備えに、女性たちの細やかな視点を活用する動きが活発だ。市民の防災意識を高めるPR、子どもらに訴えかける女性消防団員。災害時の避難所運営では、プライバシー確保などに積極的な意見が飛び交う。

 ◇   ◇   ◇

「JKB」が活躍する川崎市

「非常時の飲料水の備蓄の目安はどれくらいでしょう?」。23日、川崎市の商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」で防災イベント「備えるフェスタ2017」が開かれた。市民らでつくる「女性の視点でつくるかわさき防災プロジェクト(JKB)」のメンバーらが親子連れに声をかけ、クイズ形式で防災知識を伝授していた。

特に力を入れていたのが、災害時のトイレ対策だ。「女性や子どもが災害で困ることの一つがトイレ。ビニール袋と凝固剤をバッグに入れておけば、トイレとして使えるので安心です」とメンバーの菅生江さん(67)。ポケットティッシュ程度の大きさの携帯トイレも配布し、備えを呼びかけた。2歳の長男と訪れた同市の主婦(38)は「トイレの準備は大切だと、改めて認識した」と話していた。

JKBは13年、東日本大震災で被災し避難した女性たちの困りごとを集め、防災冊子を作った。備えとして生理用品、避難所での生活臭を消す香りのオイル、貧血や口内炎を防ぐビタミン剤など「女性にとって本当に必要なアイテム」を紹介する。親子連れらを対象にした減災マップの作り方を教え、ポリ袋を使った被災時の食事作りの講座も開く。メンバーの三村英子さん(49)は「女性の目線で身近な問題を探り、本当に役に立つノウハウを伝えていきたい」と話す。

 一方、男社会のイメージが強かった地域の消防団も様子が変わってきた。

横須賀市は女性消防隊「はまゆう隊」

「放水、始め」。20日、神奈川県横須賀市消防局の訓練施設で、同市の女性消防団員「はまゆう隊」の約10人がポンプ放水の訓練に取り組んでいた。9月に市内で開かれる競技大会に向け、ホースを抱えて走り、連結して放水する手順を繰り返す。全員が汗だくだ。

メンバーは19歳から50代半ばで、主婦や大学生、歯科衛生士など職業は様々。普段は各自の地元で火災発生時の消火支援などをするが、市民への啓発活動を強化するため昨年4月、はまゆう隊を結成した。仕事や家事の合間を縫って幼稚園などに出向き、紙芝居での防災教室や応急手当ての講習会を開く。

大橋麻弥さん(54)は酒類卸会社の正社員として働きながら団員として活動。大会前は帰宅して家族の夕飯を作ってから、週3回ほど地元の分団で訓練。防災イベントでも指導する。「仕事との両立はハードだけど、住民の感謝の声は素直にうれしい。地域の消防団の活動をのぞいてみてほしい」と話す。

総務省消防庁は地域の防災力を上げるため、地元に密着した女性の入団を促す。全国の女性消防団員は4月時点で2万4980人で、5年前から約5千人増。団員全体の2.9%にとどまるが、5%まで引き上げる目標を掲げる。

消防団員として約30年の活動歴を持ち、総務省消防庁の消防団等充実強化アドバイザーを務める赤羽消防団(東京都北区)の小沢浩子副団長は「女性は仕事だけでなく、PTAや趣味の活動で地域とつながっている。いざというときに顔見知りのネットワークが力を発揮する」と話す。土日に訓練をしたり、日中の火災には団員OBに出動してもらう制度を設けたり、参加女性の負担を減らす仕組みもあるといい「家族が暮らす街の安全を一緒に守りませんか」と呼びかける。

東京・新宿区 「女子会」で避難所運営の課題を検討

災害時に不特定多数の人が身を寄せる避難所ではプライバシーの確保が難しく、女性が性犯罪などのトラブルに巻き込まれる恐れがある。内閣府は昨年策定したガイドラインで、避難所運営への女性の参画を促す。

東京都新宿区は12~14年度、区内の小学校2校の避難所をモデル地区に選び、住民やPTA役員らでつくる「女子会」で避難所運営の課題を検討した。「災害時に使うマンホールトイレは校舎の裏側にあるから、薄暗くて危険」などの意見が寄せられた。

区はこうした意見をもとに、授乳に使える小型テントなどを新たに配備。今年度中には、全ての避難所の運営管理協議会に「女性・子ども部」を設置し、運営マニュアルの見直しを進める方針だ。

当時、PTAの役員の立場でモデル地区の議論に参加した小瀬洋子さん(45)は「避難所運営では団結力が重要になる。地域の女性たちがうまくコミュニケーションを取り合い、物資や食事の配布に力を発揮できるはず」と話している。

 ◇   ◇   ◇

仕組みの次は実効性 ~取材を終えて~

「男性では想像もつかないような意見をたくさん聞けました」。女性による避難所運営の議論を見守ってきた新宿区の防災担当者が振り返る。3カ年にわたる議論では備品の項目から洗濯物を干す場所まで、実に細かい指摘が相次いだという。

災害が起きたとき、行政を頼りにできるとは限らない。新宿区で区内に住んでいる職員は全体の1割強にとどまるといい、「夜間や休日に災害が起きた場合は職員がすぐに集まれず、住民に避難所を開設してもらう可能性が高い」という。

同区は来年度からワークショップを開くなど、女性の手で避難所運営の課題を洗い出すという。担当者は「まだ個人のアイデアの段階だが、女性だけで避難所開設訓練をやってみるのもいいかもしれない」と構想を膨らませる。女性の視点を盛り込んだ防災の仕組みは整備されつつある。今後は実効性を高める取り組みが重要になりそうだ。

(久永純也)

[日本経済新聞朝刊2017年8月28日付]

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