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ベールを脱いだ「ロボアド」 草創期の実力を探る QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2017/8/30

 コンピューターが投資家のリスクに応じて投資信託の組み合わせを提案し、希望すれば運用まで自動で行う「ロボ・アドバイザー(ロボアド)」。低コストでスマートなイメージから個人投資家の関心が高いが、対外的な運用成績はベールに包まれていた。そんな中、ロボアドを手掛ける一部の会社はこのほど、成績の開示に踏み切った。ありのままの情報開示によって運用の透明性を高め、投資家にアピールする狙いだ。

 QUICK資産運用研究所が各社に調査したところ、この1年はまずまずの運用成績を残していることがわかった。最低投資金額が1000円、2000円の会社もあり、投資の第一歩としてロボアドを検討してみる価値はありそうだ。

■基本原理は半世紀以上前のもの

 ロボアドとは、インターネットを通じて年齢や投資経験、投資の目的などいくつかの質問に答えることで、コンピューターが投資家ごとに許容できるリスクの大きさを判定。そのリスクに見合った最適な資産の配分を示し、具体的な投信や上場投信(ETF)の購入を提案する仕組みだ。

 その基本原理は1950年代に登場した「現代ポートフォリオ理論」に基づく。複数の資産への分散投資によって、リスクを抑えながらリターンを高める最適な配分が見つかる、という理論だ。

 それから半世紀以上がたち、理論の一部改良や応用技術の進歩、スマートフォン(スマホ)の普及に加え、日本だけではなく世界の金融市場に手軽にアクセスできるようになったことで、国際分散投資を基本とするロボアドが一気に花開いた。サービスは海外で先行、日本でも広がりつつある。

 日本では現在20社近くのロボアドのサービスが利用できるが、そのうちベンチャー系を含む以下の7社(五十音順)が協調してパフォーマンスの開示を始めた(更新は毎月)。

 ・ウェルスナビ(ロボアド名:WealthNavi)
 ・お金のデザイン(THEO)
 ・財産ネット(資産の窓口)
 ・松井証券(投信工房)
 ・マネックス・セゾン・バンガード投資顧問(MSV LIFE)
 ・みずほ銀行(SMART FOLIO)
 ・楽天証券(楽ラップ)

■1年間の運用成績はまずまず

 開示の様式は各社で異なるが、アドバイスにかかる費用や投資先の投信・ETFの信託報酬、取引コストなどを控除した円建ての実質的な運用成績について、調査を行った。

 早速、7社が開示したデータを基にパフォーマンスを比較してみよう(表A)。表はリスク許容度を便宜上5段階に分け、1年間の価格変動リスクと6カ月および1年間のリターンを比較できるようにした。

 ロボアドは2種類に大別できる。運用をお任せする「投資一任型」と、資産配分や具体的な投資ファンドの提案は行うものの、実際の売買は投資家に委ねる「アドバイス型」の2つだ。

 表からは投資一任型、アドバイス型ともに、全般的にリスクを大きく取るほどリターンが高くなるハイリスク・ハイリターンの傾向が読み取れる。7月末までの1年間で世界の株式相場は上昇傾向をたどり、ドル円相場も円安方向に振れたため、ロボアド全般にプラス要因になったが、新興国の組み入れ比率が多い方が有利に働いた面もあるようだ。

 表には参考として、三菱UFJ国際投信が内外資産に国際分散投資する「eMAXIS最適化バランス」の運用実績もそえた。これは同社が運営するロボアドサービスで投資家のリスク許容度を5段階で、判定して提案する投信だ。同社は今回の運用実績開示には加わっていないが、「eMAXIS最適化バランス」は低コスト(信託報酬は税抜き年0.5%)でノーロード(手数料ゼロ)での一般購入が可能である。これとの比較も合わせると、各社ロボアドのリターンには多少の差はあっても、リスク許容度に応じた1年間の運用成績はまずまずだったといえるのではないか。

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