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立川談笑、らくご「虎の穴」

意外に筆まめだった談志師匠 当時最速のレスポンス 立川談笑

2017/8/27

PIXTA

 どうやら近ごろは「手紙」って書かないんですよねえ。「年賀状」をテーマにしたとき、気づいたはずだったのに。またしても気の毒なテーマを弟子たちに押し付けてしまったのかなあ。と、もやもやしています。ってなわけで、これから手紙について、つらつらと書きつづってみます。まずは落語に登場する手紙の話から。

 古典落語で手紙が大きな役割を果たしているものといえば、「文違い(ふみちがい)」でしょう。舞台は新宿の岡場所です。女郎が隠していた手紙を客に読まれてしまうことで、話が大きく展開します。現代とはずいぶんかけ離れた世界の話のようですが、大事なメールを絶対に送ってはいけない人に送信してしまった……と考えると、スリリングな状況が分かる気がしませんか。

高座を前に準備する落語家の立川談笑さん

 昔は無筆といって字が読めない、書けないなんて人はいくらもありまして……と始まる落語、「手紙無筆」があります。

 字が読めない八五郎。おじさんから届いた手紙を読んでもらおうと、兄貴分を訪ねます。ところが日ごろは博識ぶっている兄貴分も、実はまるで字が読めない。知ったかぶりをしたまま手紙を解読することになります。

 「えー、拝啓。謹啓。前略。前文ごめんくだされたくそうろう。しからば……。どうだ。この中から好きなのを選べ」

 「おかしな手紙だねえ」

 「おまえ、最近そのおじさんに会ったりしなかったか?」

 「そうそう。この間、広小路の角でばったりと会いましたよ」

 「そうだ。ほうら、書いてあるぞ。『この間、広小路の角でばったりと会ったっけな、ござそうろう』」

 「なぁんだいそりゃ」

 手紙独特の古めかしい言葉がたくさん登場します。こういう軽いネタをさらっと演(や)れる落語家にあこがれます。

 手紙を読むシーンを念入りに演じるのが「天災(てんさい)」。扇子の骨を数本開けた状態が、封筒。上を破って、フッと封筒の中に息を吹き込み、手紙を取り出す。巻いてある紙を開く(扇子を広げる)。そして文面を読みながら、

 「おお、はいはい。聞いておりますですよ、はい。ふむ、なるほど。うーん。いかん。うっはっは。これはいかんな。はっはー、なるほど」

 と、この手紙を読むシーンでは、間合い、目つき、表情で客席から大きな笑いが起きるところです。字で書いても、ぜんぜん伝わりませんねえ。

 そろそろ落語の話は切り上げましょう。最後にひとつだけ。「女給の文(ふみ)」、別名「ラブレター」なんてのもあります。

 「へそかいくて。へそかいくて?」

 「いそがしくて」

 「べつだん、へそなめた」

 「ぶつだんへ、そなえた」

 手書きの文字が下手すぎることからくる読み間違いが楽しい一席です。

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