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かつて私も大失敗 投資は過信こそ大敵(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2017/8/29

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「株式投資で堅実に資産を増やすには、いかに暴落する銘柄をつかまないようにするかが大切だ」

ゴルフで良いスコアを出すには、いかに遠くまで飛ばすかを考えるより、いかにOB(コース外に出る失敗打)を少なくするかがポイントです。野球でも勝つためには四死球やエラーを抑えなければなりません。

同じように、株式投資で堅実に資産を増やすには、株価が倍になる銘柄を見つけるかより、いかに暴落する銘柄をつかまないようにするかが大切です。といっても、投資で百発百中はありません。いろいろな銘柄に投資していれば、必ず暴落する銘柄に行き当たるものです。

■投資はいかに損切りできるか

いかにすばやく損切りを決断できるかが、長期的なパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。私は25年間、日本株ファンドマネジャーをやってきましたが、今回は成長株投資で大失敗した話をご紹介します。どうして失敗したか実例を知ることが、個人投資家の皆さんにも役立つはずです。

私は20歳代で残高1000億円、40~50歳代では2000億円以上の日本株ファンドを運用していました。時価総額が大きい大型割安株をポートフォリオの中心に据えながら、規模が小さい小型成長株にも投資していました。

大型割安株では、堅実経営で安定的に高収益を上げているにもかかわらず、市場で不人気で株価が割安になっている銘柄を選んで投資していました。長期でじっくり投資して、値上がりを待つ戦略です。

一方、小型成長株ではテーマに乗り、短期的な株価上昇が期待できる銘柄を選んでいました。小型成長株は値動きが荒いので、失敗したら早めの損切りを徹底していました。成功して株価が大きく上昇したときも早めに利益確定していましたので、比較的短期で売買していました。

小型成長株が突然急落するときは理由を考える前に、問答無用の売りを出していました。理由は後からわかることが多く、わかってから売っていたのでは間に合わないことが多かったからです。暴落する小型株をすばやく売ることを徹底していたことが、長期的な好パフォーマンスを維持するために重要だったと思います。

■昭文社の投資で大失敗

ところが、そんな私が小型成長株で大失敗したことがあります。それは、2000年に投資した昭文社です。値下がりが続き、半値になるまで保有を続けてしまいました。ただ持っていただけでなく、下がる過程で何回か買い増したので、最終的に大きな損失が出ました。「下がる小型株は、問答無用で損切り」を信念としていた私としては、とんでもない失態です。

なぜ、すぐ売らなかったのか? 昭文社が、将来大きく成長すると過信していたことが敗因です。間違いに気づくのに時間がかかりました。

私は小型成長株に投資するとき、なるべく企業を取材して、事業内容をよく理解してから投資することにしていました。当時は、年間200社余りの企業を取材していました。昭文社もそうして選んだ銘柄です。

成長株として投資を実行する際、次の3つの条件をチェックしていました。

(1)事業の成長性が高い
 (2)市場シェア(占有率)が高い
 (3)参入障壁が高い

(1)(2)の条件を満たす株(高成長・高シェア)はたくさん見つけることができます。例えば、今までなかった新しいネットサービスを始め、需要が急増しているIT(情報技術)企業があると、投資家はそれを成長株としてはやします。そうなると、株価が大きく上昇します。ただし、その後が問題です。よくあるのは新規参入が増えて、あっという間に過当競争になり、利益が稼げなくなることです。そうなると株価は暴落します。

参入障壁が低いビジネスで成長できる期間はとても短くなっています。だから私は成長株の調査をするとき、(3)の条件を満たすかどうか、念入りに分析します。

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