兄弟漫才のミキ しゃべくり一筋、賞レースで台風の目
大阪で活動中の兄弟漫才コンビ・ミキがバラエティー界に浮上してきた。常識外れの言動を次々に繰り出す弟の亜生(あせい)に兄の昂生(こうせい)が甲高い声でツッコんでいくしゃべくり漫才を得意とし、2016年は「第1回上方漫才協会大賞」新人賞、「第46回NHK上方漫才コンテスト」優勝など、様々な賞レースの台風の目になった。
16年はとにかく賞をとりまくった。「27時間テレビ」(フジテレビ系)の「笑わせたもん勝ちトーナメントKYO-ICHI」で優勝し、「ENGEIグランドスラム」(フジ系)をはじめとするネタ番組にたびたび登場。最近は「満天☆青空レストラン』(日本テレビ系)で食レポも見せるなど、仕事の幅を広げつつある。
結成は12年。兄が先にお笑いを始めた。
「大学3年の頃に友達に誘われて京都の路上でライブをやるようになって。卒業後はフリーターだったんですが、亜生が就職してすぐに『一緒に漫才をやりたい』と言ってきたんで、組むことになりました」(昂生)
ホントは弟とやりたかったという兄が、なぜ最初から声をかけなかったのかと問うと、「2人兄弟なので両方ともお笑いをやったらミキ家が崩壊してしまうと思って誘えなかった。弟から言い出してくれたので、兄としてなんとか親を説得しました(笑)」と語る。
所属事務所は、よしもとクリエイティブ・エージェンシー。養成所を経て所属する者が大多数のなか、オーディションで事務所入りした数少ないコンビだ。共に好きな芸人は、フットボールアワー。「最初のうちは漫才を全部書き起こして分析していたくらい。それから漫才の歴史をエンタツ・アチャコさんから勉強し直していき、いとし・こいしさんにドハマりしていきました」(昂生)。もともとダウンタウンやナインティナインが好きだったという亜生も「フットボールアワーさんの漫才を見て衝撃を受けた」と言う。
ネタ中に亜生が昂生のことを「兄ちゃん」と呼ぶのも彼らの特徴。コントに挑戦したこともあったが、早い段階で漫才に専念することを決めた。その理由は「コントをしても『お兄ちゃん』と呼んでしまうから」(亜生)。「医者が患者のことを『お兄ちゃん』と呼んでしまったらコントが成り立たないでしょ?」と兄はあきれたように言うが、その顔はどこかうれしそうだ。
大阪と東京を往復する機会も急増したが、「東京進出は全く考えていない」(昂生)と言う。テレビを見た人を劇場に呼べさえすれば、東京じゃなくても十分に満足なのだそうだ。
向上心がないわけではない。今年は「M-1グランプリ」決勝進出が目標だ。「去年は肩に力が入りすぎて準決勝で失敗してしまった。今年は力まず勝負できたらと思います」(昂生)と意気込みを語る。
(「日経エンタテインメント!」8月号の記事を再構成。敬称略。文/遠藤敏文 写真/中村嘉昭)
[日経MJ2017年8月25日付]
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