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睡眠

痛みと眠りの不思議な関係 専門家も想定外の新発見

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/9/12

ナショナルジオグラフィック日本版

(イラスト:三島由美子)

 痛みを伴う病気は生活の質をひどく低下させるため患者さんの悩みも深く、病院を受診するきっかけとなることが多い。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、外来を受診する患者さんの訴えの中で一番多いのが腰痛と肩こりであり、そのほかにも関節痛など痛みに関連する症状が上位にずらりと並ぶ。

 痛みの原因となる病気には、関節リウマチ、椎間板ヘルニア、糖尿病による神経炎、痛風、がん、尿管結石などさまざまあるが、その多くは年齢とともにかかりやすくなり、また慢性化する。

 痛みがあると夜に眠れなくなる。特に慢性的な痛み(慢性疼痛:まんせいとうつう)のある患者さんでは半数以上が不眠に悩まされている。米国の民間調査会社ギャラップの報告によれば米国人の18%にあたる5600万人が何らかの痛みのために不眠に悩んでいるという。

 残念ながら日本人での大規模な調査データはないが、高齢化が進んでいる分だけパーセンテージは高いかもしれない。例えば、日本国内には変形性関節症の患者さんが1000万人以上おり、その7割以上が不眠症状に悩んでいるとされている。これだけで700万人、日本人の約6%である。

■「痛いから眠れない」だけではなかった

 痛みと睡眠といえば、今から10年以上も前のことになるが、ある女性アナウンサーが自殺で亡くなったという悲しい出来事を思い出す。それが自殺の直接の原因であるか分からないものの、報道によれば彼女は出産後に慢性疼痛を伴う「繊維筋痛症(せんいきんつうしょう)」という病気を患い、育児も仕事もままならず悩んでいたとのことであった。ワイドショーなどでもずいぶん放映されたため、この耳慣れない病名をご記憶の読者もいるかもしれない。

 線維筋痛症は中年女性で発症することの多い原因不明の病気で、後頭部(うなじ付近)、肩、背中、肘、腰、膝など全身に痛みが生じるのが特徴である。

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