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人生を変えるマネーハック

人生100年時代 最大課題「老後35年」への備え方 人生100年時代をマネーハック(4)

2017/8/28

現役時代を延ばすことは悪い話ばかりではなく、マネープランの収支を大きく改善することにつながるわけです。社会的にも「75歳現役時代」へのシフトが提言されるようになってきましたが、これは当然の方向性と考えるべきです(10年長く働くためには、働きがいのある仕事をすることも重要です)。

年金受給が始まってからも、働くことは有意義です。大江英樹さんと井戸美枝さんの著書「定年男子定年女子」では、年収100万円でもいいので老後も働き続けることを提案していますが、公的年金で不足する程度の金額を稼ぐことができれば、資産は取り崩さず将来に繰り越すことができます。これはひとつの「人生100年時代への処方箋」といえます。

■投資信託など投資は必須課題に

もう一つは、お金を効率的にためて老後を迎えることです。人生100年時代は現役時代の準備期間と老後の取り崩し期間を合計すれば、50年以上になることもおかしくありません。

このとき、資産運用で意識すべきは「資産の上積みを図るペースを高める」ことと「資産の実質的価値を目減りさせない」ことです。

毎月1万円を22歳から65歳まで積み立て、その後は35年にわたって取り崩すと仮定します。まず、預金を前提に全期間の運用利回りを年0.1%とすると、65歳時点での資産は約465万円、老後の取り崩し額は月に約1万1000円になります。これでは老後に十分な財産とはいえません。

しかし、株式投資信託を購入するなどもっとリスクを取って運用すればどうでしょう。現役時代の運用利回りを年4.0%とするなら、65歳時点での資産は約1068万円になります。老後も年2%で回せば、毎月の取り崩し額は約3万5000円と大きく増えます。

同じ元本を積み立てて取り崩すケースでも、運用の違いが大きな老後格差になることが分かります。投資は現役時代もまた老後においても、適切に活用しなければいけないスキルとなってくるわけです。

また、投資はお金を増やす意味合いだけでなく、お金の価値を守るためにも必要になると思われます。これだけ長期にわたった資産管理においては、インフレ率が預金金利を上回ることで実質的な元本割れを引き起こす恐れもあり、財産の価値を守る意味でも投資をしておく必要があります。

■マネープランも大きく変わる

最近の本では「2030年ジャック・アタリの未来予測」「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」など、「LIFE SHIFT」のように未来予測をする内容が増えています。

社会が大きく変化していく中で、人生100年時代のマネープランも従来型の発想では通用しないことは明らかです。しかし、個人のマネープランにおいて、どう対策を取っていくべきかはまだ十分な議論にはなっていません。

千葉商科大学教授・日本FP協会専務理事の伊藤宏一先生が提唱した「ライフプラン3.0」の考え方は議論の先駆けとなっています。今後より具体化させて、個人のマネープランに結びつけていく必要がありそうです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)など。http://financialwisdom.jp

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