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人気テノールのフォークト ワーグナーへの思いを語る 最初から最後まで「独自のタンホイザー」、バイエルンで

2017/8/25

 明るく澄んだ声で観客を魅了するヘルデンテノール(英雄的な役柄を担う強い声のテノール歌手)、クラウス・フローリアン・フォークト。欧州の主要歌劇場で、ワーグナー作品に引っ張りだこの存在だ。作曲家自身が創設したバイロイト音楽祭(ドイツ・バイエルン州)にも、毎夏のように出演している。中でもローエングリン役の評価が高いが、今年5月にはミュンヘンのバイエルン国立歌劇場でタンホイザー役に初めて挑戦。9月の同歌劇場日本公演でも同役を歌い演じる。オーケストラのホルン奏者からスター歌手に駆け上がったフォークトは自らの声で何を伝えたいのか。ワーグナーへの思いのたけを聞いた。

 ◇   ◇   ◇

 ――タンホイザー役は5月のバイエルン国立歌劇場が初めてでした。

 「何年も前からオファーはあった。だが、この役は納得のいく状態でやりたいと思っていたため、断ってきた。タンホイザーはドラマチックな役柄。演じ、歌うにはローエングリン役とは違った難しさがある。歴史や神話とも密接に結びついている。だから時間をおいた。タンホイザーを演じるには声楽テクニックにくわえて、人生経験というものも必要だ」

 「タンホイザーは極端な矛盾というか、振れ幅が激しい人物だ。興奮状態から一転、軽快になったかと思いきや、神経質になり、深い屈辱を経験し、疑心暗鬼に陥る。しかもラストになってそんな場面がやってくる。非常に興味深い人物だ。かれは現状に満足しない。どこか遠くへ行きたいと夢見る一方で、過去へ戻りたいと歌う。第2幕では(愛する)エリーザベトのところにいるにもかかわらず、愛欲の女神ヴェーヌスのもとへ帰ろうと考える。つねに自分が置かれている空間や状況以外の場所へと、いざなわれている。移り気で矛盾だらけの人物に思える」

 ――技術的な難所はありませんでしたか。

「ヴェーヌスベルク(ヴェーヌスとやりとりする第1幕)の場面だろう。冒頭は純粋に難しい。いきなり全力を求められる。この場面は本当に歌手泣かせだ」

 ――当たり役のローエングリンと、タンホイザーではとらえどころが違うのでは。

「ローエングリンは難しい山場が最後にやってくるが、タンホイザーはいきなり冒頭にある。ここが違いだ」

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