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大富豪が実践しているお金の哲学

割高手数料にそっぽ 大富豪はETFで資産を増やす

日経マネー

2017/9/26

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日経マネー

大富豪と呼ばれる人たちがいる。多額の富を保有する彼らのお金に対する考え方は、いったいどのようなものだろうか。かつて金融資産10億円を超える大手顧客を対象とした野村証券のプライベートバンク部門で辣腕をふるったZUU社長兼CEO(最高経営責任者)の冨田和成氏が、大富豪が実践する「お金の哲学」を解説する。

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初めての資産運用で投資信託(投信)を選ぶ人は多いのですが、それだけで大もうけしている話をあまり聞きません。想像するに、投資に不慣れな人が資産運用と言って思い付くのは銀行や郵便局の窓口であり、そこで薦められるままに投信を買うのでしょう。

投資に慣れた人は、投信を疑ってかかります。正確に言えば、その手数料の高さを気にするのです。典型的な投信では、購入時に3%程度の「販売手数料」を取られ、さらに運用期間中は「信託報酬」として毎年2%程度を取られます(手数料は商品により異なります)。

初心者の場合、難解な商品説明を理解しようとしている最中に手数料について触れられると、「数%か、まあいいや」と流してしまいがち。しかし、それの意味するところは、合計5%ものハンデをいきなり背負いながら、「さて、1%でも利回りが高い商品はないかな」と真剣に検討するというもので、不自然極まりない状態です。大富豪は銀行の手数料すら気にする人種なので、手数料の割高な投信については、その手数料を大きく上回るリターンが見込めない限り、手を出そうとしません。

■毎月分配型投信に多い「タコ足食い」

最近では「貧乏老人」という言葉が独り歩きしている影響か、退職金を投信に注ぎ込むケースも耳にします。人気なのは「毎月分配型」の投信です。毎月お金が口座に振り込まれるともうかっている気分になるのですが、実際は、自分が払った元本が取り崩されてお金が分配されるだけという投信も多いのです。これは、タコが自分の足を食べている状態に似ているため、「タコ足配当」と呼ばれます。

このタコ足配当でも、リタイア層からすれば公的年金は2カ月に1回しか振り込まれないので毎月お金が入る安心感はあると思います。しかし、自分のお金を他人に振り込んでもらうために資産をリスクにさらし、さらに高い手数料まで支払うことが理にかなっているか判断する必要があります。

もし、お金を増やしたいなら、複利運用の考え方が基本。最初から「再投資型」の投信で運用し、お金が必要なら一部を切り崩す方法もあります。それに、投信の利回りは他の金融商品と比べて突出して高いわけではありません。実際、投信の中には日経平均株価やTOPIXなどインデックスの利回りに勝てないものも存在します。

そこで注目されているのがインデックスの値動きに連動するETF(上場投信)です。特徴は手数料が安いこと。ETFはどの証券会社でも購入でき、ネット証券を使えば売買手数料は0.1%以下、信託報酬も年0.1%を切るものもあります。「手数料が安くなる=全体の利回りが上がる」ということなので、大富豪はETFを自分で組み合わせてポートフォリオを組むことが多いようです。

※「大富豪が実践しているお金の哲学」は今回が最終回です。ご愛読ありがとうございました。

冨田和成
ZUU社長兼CEO。一橋大学在学中にIT分野で起業。卒業後、野村証券プライベートバンク部門で活躍。退職後にZUUを設立し、国内最大規模の金融ポータルメディアZUU onlineなどフィンテック分野で事業を展開中。

[日経マネー2017年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年10月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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