週の労働時間が一定だとすると「重要なタスクや会議」に時間を使えば使うほど生産性は向上することになります。このような現状把握を実施していない、あるいは、興味がないとするならば、あなたの会社は生産性向上に本気で取り組もうとしていないと断言できます。

職種ごとに異なる「3」「2」「1」の割合

職場全体や自分の仕事で「3」「2」「1」の構成比を把握したとしても、その数値が高いのか低いのか判断できません。比較対象として何か目安になるものがあると便利です。ここではリクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」を見てみます。

労働時間の削減のためには、仕事の内容に沿った取り組みが必要という仮説のもと、さまざまな業界・職種で働く人に、自分の労働時間を「本来業務」「周辺業務」「手待ち時間」に分類してもらった調査です。ここでの定義では、「本来業務」=本来の担当業務で成果と直結している仕事、「周辺業務」=周辺的な雑務、「手待ち時間」=待機や客待ち等の手待ち時間。先にお伝えした「3」「2」「1」での仕事の棚卸しでいえば、「3」がおおよそ本来業務。「2」がおおよそ周辺業務。「1」が手待ち業務に該当します。

合計を100として、3つの割合を計算すると、全職種平均では、本来業務74.3%、周辺雑務17.9%、手待ち時間7.8%という結果になりました。前述した、私のある週のスケジュールでは「3=本来業務」が33%しかありませんでした。私はかなり生産性の低い1週間を過ごした可能性が高いということがわかります。

全職種の平均では、本来業務以外の周辺雑務と手待ち業務の合計で約25%を占めており、そこに仕事効率化、つまり生産性向上の余地があることが分かります。

では、この分類に基づいて生産性を上げるにはどうしたらよいのでしょうか。目指す方向性は、「本来業務」の割合を増加し、「周辺業務」や「手待ち業務」の割合を低下させること。並行して、無理や無駄な仕事や会議を減少すれば、労働時間を減らすことも期待でき、そうすればさらに生産性が向上することになります。

「『3』の時間」の割合を増やすには?

生産性向上の処方箋として有効な、ひとつのモノサシが前述の職種別の視点です。例えば、周辺雑務が長い職種と手待ち時間が長い職種だと、生産性向上や長時間労働の是正の処方箋が異なってきます。

「手待ち時間」の構成比が一番高い32.0%のドライバー(タクシー・ハイヤー)、2位で21.1%の医薬品営業などは、顧客である乗客や医師などを待っている時間が長いと想像できます。週に5日間働くと考えると、ドライバー(タクシー・ハイヤー)で1.5日、医薬品営業で1日分が手待ち時間となっています。この改善には、当然ながら個人の努力だけでは限界があります。

「手待ち時間」の割合が大きい職種(リクルートワークス研究所『全国就業実態パネル調査2017』より)

一部のタクシー会社では、過去データに基づいて人工知能(AI)を活用し、これから顧客が見込まれる場所を予想、最適な配車を行うといった取り組みで、「手待ち時間」の減少に経営レベルで取り組んでいます。結果として、利用者の待ち時間も減るため、サービスレベルが向上、満足度が高まり、利用者も増加。ひいては業界全体の売り上げが増加し、従業員の所得増加にもつながる画期的な生産性向上の取り組みといえるでしょう。

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