マネー研究所

行列のできる投信相談所

長期投資、ちょっと退屈 「少し攻める」やり方は

日経マネー

2017/9/15

PIXTA
日経マネー

 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇  ◇  ◇

Vさん(以下、V):長期分散投資が王道なのは分かりますが、ちょっと退屈ですね。

吉井(以下、吉):どうしてですか。

V:目標とするリスク・リターンに適した投資信託のポートフォリオ(資産配分)を組んだら、あとはそれを維持するだけなんて……資産運用って、もっとアクティブに売買するものだと思っていました。

吉:ポートフォリオ運用でも、相場が大きく動けば売買は発生します。ただ、積極的に投資機会を狙うものではないことは確かですね。

V:もうかりそうなものに絞って投資するのは難しいのですか。

吉:できれば苦労しませんが、それができないから、年金運用などのプロの投資家は分散投資しているわけです。でも、投資機会を狙う運用がいけないわけではありません。「コア・サテライト運用」という言葉を聞いたことはありますか。

V:何か格好いい響きですね。

吉:コアは「中核」、サテライトは「衛星」を意味します。長期分散投資を運用の中核に置き、魅力的な投資機会への投資でプラスαを狙うという考え方です。

V:具体的にはどうすれば?

吉:まず、コアとサテライトの位置付けをしっかり理解することが大切です。コア運用はあくまでも長期分散投資。国内や先進国の株式、債券といった、適正な価格でいつでも売ったり買ったりできる流動性の高い資産で、目標のポートフォリオを維持して運用します。

V:サテライトの投資対象は?

吉:サテライト運用は、その目的によって大きく2つの考え方に分かれます。一つは、コアの資産配分に濃淡を付けるという考え方。例えば、長期的なリスク・リターンに応じて国内外の株式や債券でポートフォリオを組んだとします。しかし、足元の相場環境に鑑みると、株式に有利で債券に不利だとしましょう。そのような時に、サテライトとして株式投信をちょっと上乗せしてみるというものです。

V:もう一つの考え方は?

吉:コア運用には入れないような対象への投資です。例えばテーマ株や新興国の株式・債券、REIT(不動産投信)、MLP(エネルギー関連の共同投資事業)など、より短期的に高いリターン、効率的なリターンが狙えるような対象を加えてみるという考え方です。

V:REITはサテライトですか。

吉:日本の個人投資家にはポピュラーですが、プロの投資家からするとサテライトという認識ですね。

V:日本人はREITをコア運用に入れている人も多いような。

吉:そこは少し気を付けてほしいところです。一般的に、REIT市場の規模は株式市場のせいぜい10分の1。コアとするにはリスクが高めです。バランス型投信を見ても、REITの組み入れ比率は0~10%程度のものが多いです。

V:コアとサテライトの適正な比率ってあるのですか。

吉:目安はコア9:サテライト1くらい。例えばコアで年率4~5%のリターンを目指すとしましょう。サテライトは短期の価格変動を取りに行くことが多いので、短期的に20~30%程度価格が動くわけですが、これが資産全体の1割なら、仮に見通しが外れても2~3%の損失で済みます。コアの長期的なリターンでカバーできますね。

V:やけどしないために、サテライトは控えめにということですね。

吉井崇裕
 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2017年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年10月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL