秋口から安定飛行か 上値重く下値堅いREIT

日経マネー

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2017年7月中旬に1620ポイントまで急落した東証REIT指数は同月末までに1700ポイント台を回復した。反発の理由は急落で割安感が強まったためであろう。

REITの実体は不動産賃貸業だ。本来、収益のブレ幅は小さく、投資口価格が急落しても、すぐに買いが入って元の水準に戻ることが多い。7月中旬に付けた底値の1620ポイントは前月比で6%以上も安く、今回の反発も過去の値動き通りと言っていいだろう。

ただ、下値が堅い半面、日銀の金融緩和のようなREIT価格を大幅に上昇させる材料も見当たらない。下落に対する注意が必要な状況は当面続くことになりそうだ。

年後半の展開をもう少し考えてみよう。17年同様、日銀の追加緩和がなかった15年、中国経済の先行き懸念から原油価格が下落。株式市場が軟調になる中、REIT価格も歩調を合わせるように急落した。

対して今年の下落は特に目立つ海外要因がない。恐らく投資家が最も気にしているのはオフィス市況の行方だろう。来年以降、東京都心部では大型オフィスビルの竣工が相次ぐ。一気にオフィスの供給が増えれば、既存物件に逆風が吹くであろうことは誰でも容易に想像がつく。

秋口からは安定飛行に

注:投資口価格は2017年8月4日時点

東証REIT指数はTOPIX同様、「時価総額加重型」の指数だ。その時価総額上位5銘柄のうち4銘柄はオフィスに投資する銘柄が占める。つまり東証REIT指数はオフィス市況に大きく左右される構造になっている。「オフィス増ならREITは売り」と投資家は単純に連想しているのだろう。

このオフィス市況に対する懸念は銘柄の決算発表によって払拭されていくとみている。その理由は、REITは業績予想をかなり保守的に公表することが多いからだ。

例えば日本ビルファンドが16年6月期決算に公表した2期分の予想分配金は8640円と8650円。これは16年6月期実績と比較すると、それぞれ2.9%と0.1%の増配予想となる。

つまり今期は伸びるが来期は横ばいという予想だ。ところが、半年後の16年12月期決算の公表時には、横ばいの8650円としていた予想を9000円に上方修正している。つまり今期伸長、来期慎重がREIT決算の定番なのだ。

これからの決算で18年以降の分配金の予想値が明らかになっていくが、投資家は「今期予想はしっかり、来期予想が横ばい」であることを確認すれば、足元からこの先1年程度のオフィス市況に対して安心感を持つはずだ。

従って18年以降の業績予想が出揃う秋口からREIT価格は徐々に落ち着きを取り戻し始めると考えている。東証REIT指数で見れば、一時的に1600ポイントを割り込むような局面もありそうだが、秋口以降は1700ポイントを安定的に上回って推移することになるだろう。

関大介
不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年10月号の記事を再構成]

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