進化する土産物、新定番の10選 2匹目のウナギは…
東京、大阪に負けじと、各地で土産物が劇的に進化。大手メーカーや老舗のチャレンジが実を結び、続々と新定番土産が勃興している。
キャラメル事業で創業した江崎グリコは2014年夏、新千歳空港に同社初となるキャラメル菓子専門店「キャラメルキッチン」をオープン。牛乳やバターなど原材料となる良質な乳製品が豊富なことが、この地を選んだ理由だ。
縁もゆかりもない北海道で「賭け」に出たグリコだが、厳選素材を使った出来たてのキャラメルを味わえるという希少性が、クチコミで徐々に浸透。今では、ヒット商品の「キャラメルビスケット」などを求めて長蛇の列ができるほどで、見事に新定番へと育った。
静岡県では17年4月、「うなぎパイ」で有名な春華堂から「すっぽんパイ」が登場した。先代のアイデアで過去にもスッポン菓子を出したものの、人気はいまひとつ。だが、朝用の菓子を作ってほしいという声を受け、「滋味深いスッポンは朝のエネルギーチャージに向く」(春華堂)ということから、「朝のお菓子」としてリベンジに出た。スッポンダシが効いた独特の味わいが受け、4月から5月にかけて開催された「お伊勢さん菓子博2017」では、用意した600個が連日完売。ウナギを追う「2匹目」として上々のスタートを切った。
一方、定番商品の進化も著しい。インターリンク沖縄の「豆腐ようモダン」がその好例。豆腐ようといえば主に酒のさかなとして知られているが、同商品ではペースト状にして調味料へと進化。豆腐ようの新しい可能性を発掘した。
北海道:地元素材をぜいたくに使用
1箱1080円(税込み)
買える場所:新千歳空港内のキャラメルキッチン(直営店舗)など
新千歳空港にある江崎グリコ初となるキャラメル菓子専門店「キャラメルキッチン」。北海道産のバターや生クリームを使い、しかも手作業で作られるキャラメルは濃厚で味わい深い。なかでも狙いたいのが、「キャラメルビスケット」。ビスケットのさっくりとした食感と、キャラメルの濃厚な味わいが堪能できる。
北海道:有名菓子店の新定番クッキー
20枚入り1240円(税別)
買える場所:ルタオ直営店など
小樽市を中心に展開する洋菓子店、ルタオの新定番チーズクッキー。サクッとしつつも、ほろっとほどけるような食感が特徴だ。濃厚なチーズの味と香りがクセになる。
北海道:コーンがぎっしり詰まったパン
5個入り1080円(税込み)
買える場所:JAびえい 美瑛選果 新千歳空港店
北海道のほぼ中央、美瑛町を代表する農産物のトウモロコシがぎっしりと詰まった斬新なパン。小麦粉や生クリーム、バターなどの食材も美瑛産で統一している。東京の人気ブーランジェリー、VIRON(ヴィロン)が監修。店頭の工房でいちから手作りする。行列必至の人気商品だ。
静岡:うなぎパイに続いて「朝の銘菓」狙う
6袋入り1500円(税別)
買える場所:本店、うなぎパイファクトリー、nicoe、新東名高速道路 浜松サービスエリア 遠鉄マルシェなど
夜のお菓子「うなぎパイ」で知られる春華堂の新作。過去にもスッポン菓子を発売したものの、あまり売れずに不発。今回、「朝のお菓子」という新たなキャッチフレーズで巻き返しを図る。スッポンに加え、かつお節や桜エビなどの魚介の風味も生きている。
富山:菓子用の木型で手作りのラムネ
10個入り540円(税込み)
買える場所:富山駅や新高岡駅、高岡駅、富山空港、富山県内の百貨店など
創業180年の歴史を誇り、約800もの菓子用木型を保有する老舗和菓子店の大野屋。「大人が愉しめるラムネ」として開発したのが、落雁のような「高岡ラムネ」だ。富山県産コシヒカリの米粉を使い、職人が一点一点手作り。優しい甘さが特徴で、口溶けも良い。
広島:もみじまんじゅうの味をお酒で再現
各1080円(税込み)
買える場所:広島県内の土産物店
広島土産の定番であるもみじまんじゅうを酒にした驚きの逸品。もみじまんじゅうの原料である卵黄、蜂蜜、砂糖を使い、しっとり感を再現するために粘性を高めた。程よい甘さで、とろりと舌に絡む味わいはもみじまんじゅうそのもの。こしあん、チョコ、抹茶の3種類ある。
愛媛:パクチーとしょうゆの意外な組み合わせ
680円(税別)
買える場所:旭醤油醸造場の他、ドン・キホーテ(一部の店舗)など
宇和島市の老舗である旭醤油醸造場と、西条市の水で育ったパクチーを組み合わせた新機軸のしょうゆ。程よいパクチーの香りが特徴的で、万能調味料として使える。17年3月の発売以来、約2万本を販売。
[注]17年8月末以降にラベルデザインが変更される見込み
福岡:明太子味の新感覚ツナ缶
300円(税込み)
買える場所:直営店、福岡市内の駅や空港の土産物店など
日持ちがしない明太子の弱点を克服するために作られた逸品。国産ビンナガマグロをフレーク状にし、明太子の漬け込み液をなじませた。「レギュラー」「辛口」「プレミアム」の3種類があり、250万缶超が売れる人気商品だ。
宮崎:牛乳と米こうじの新タイプ甘酒
4本セット1400円(税込み)
買える場所:直営店や宮崎県の物産館の他、全国の一部スーパーなど
宮崎の老舗乳業メーカーが作った、牛乳と米こうじを原料とした甘酒。無加糖ながら、牛乳の優しい甘みがあって飲みやすい。47CLUBなどの取り寄せサイトでも人気。
沖縄:洋風や中華の斬新味、熟成した豆腐よう
小セット桐箱入り3500円(税込み)
買える場所:沖縄県内の直営店(龍の蔵 金武本店、県庁前店)など
豆腐ようは、島豆腐を紅こうじや泡盛などに漬けて発酵・熟成させた沖縄の珍味。通常、熟成期間は3カ月程度だが、「豆腐ようモダン」は鍾乳洞の貯蔵庫で1年以上寝かせて、ペースト状にしてあるのが特徴。スタンダードな味の他、中華風や洋風といった変わり種もある。いろいろな料理の調味料として活用できる。16年11月の発売以来、1万個以上が売れるヒットに。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年9月号の記事を再構成]
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