仮想通貨の実相:FX業界が熱視線 「潜在力は高い」仮想通貨の実相(1)

「FXには税金にかかわるものを含めて法制度が整っている。仮想通貨についてもFXに近い法の枠組みができるのではないか。FX会社との親和性は強いと考えている。4月施行の改正資金決済法で定められた仮想通貨取扱業者の登録手続きは粛々と進めている。移行期間が終わる10月1日以降の業務にも支障はなさそうだ」

【解説】

仮想通貨は既存の金融システムに組み込まれていないため、国際的な規模での銀行間(インターバンク)市場が今のところ存在しない。対ドルなら対ドル、対円なら対円だけで複数の私設取引所がつながりあい、FXにおける電子取引ネットワーク(ECN)に似た仕組みを作る。国をまたいだお金の流れがもたらす価格調整(裁定)の機能は乏しく、市場規模の小ささも響いて相場の変動率(ボラティリティー)は上昇しがちだ。

ビットコインのドル建て価格は年初の1ビットコイン=1000ドル前後から8月には4000ドル超の水準まで高くなった。上昇は一本調子ではなく、何度か急落を演じている。イーサリアムにいたっては6月下旬にフラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)を起こし、価値がゼロになりかけた。8月初めにビットコインから分裂したビットコインキャッシュの乱高下も記憶に新しい。思わぬ損失で投資家の証拠金が不足し、回収不能に陥るリスクはFXよりもはるかに高い。

それでも日々、売買手数料などのコスト削減やスプレッド競争に明け暮れるFX会社から見るとメリットは大きい。ビットコインなどを現在取引する投資家は「ともかく仮想通貨を売り買いしたい」との意欲が先に立ち、手数料や取引時のスプレッドは二の次になっている。「レートはいくらでもいいので買う」といったコスト度外視の「成り行き注文」も多く、仲介会社は利益を得やすい。

欧米の商品投資顧問(CTA)などが展開するアルゴリズム取引でも仮想通貨は選択肢の1つになり始めた。「仮想通貨をけん引するビットコインやイーサリアムの流通量がさらに拡大し、ボラティリティーをもう少し抑えてくれれば運用対象にしたい」(欧州系CTAのファンドマネジャー)との声が出ている。

CTAはもともとは高リスク運用もいとわない「リスク上等」タイプの投資家だ。適度なボラティリティーを生かして売買益を積み上げていく。仮想通貨での運用のハードルはあまり高くないと受け取れる。

〔日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今晶〕

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「仮想通貨の実相」はビットコインやイーサリアムの取引現場での最新トピックや関係者の発言を紹介します。掲載は不定期です。

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