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小沢コージのちょっといいクルマ

SUVに負けぬセダン トヨタ・カムリ劇的変身しかけ人

2017/9/4

新型トヨタ「カムリ」。税込み価格は329万4000円~。発売から1カ月で月間販売目標台数2400台の約4.8倍となる1万1500台を受注したという

ハイブリッドシステムからボディー骨格まで劇的大変身! いきなり1万1500台も受注した10代目トヨタ「カムリ」。しかしそもそもは30年前に日本語の「冠」から名付けられたベタなFFセダン。今回スタートダッシュでこそ成功したが、売れない日本でなぜトヨタは頑張り続けるのか。ここまで大胆戦略が取れるのか。ネアカなトヨタの勝又正人チーフエンジニアを小沢コージが直撃した。

■今の子はそもそもセダンを知らない

小沢コージ(以下、小沢) いきなり厳しい質問からいきますと、今って単純に日本でセダンが売れない時代じゃないですか。ミニバンとハイブリッドばかりで普通のFFセダンは全然ダメ。カムリは米国で15年連続ベストセラーを記録したわけですが、日本とは事情が違う。とはいえトヨタが「セダン復権」などと、日本で頑張る理由は何なのでしょう?

勝又正人チーフエンジニア(以下、勝又) そもそも僕は社内で「ミディアムサイズのセダン群を見ろ」と言われていますので。北米の技術担当もやっていて、月1回は米国と往復。そういう意味では「日本はやっぱりミニバンのほうがいいでしょう」などという立ち位置にいないんですね。

小沢 そういう視点で日本のマーケットを見てはいないと。あくまでも世界全体のトヨタのミディアムセダンを見ているんですね。

勝又 それからセダンが特別厳しいとも思っていません。これは地域によっても違うんですが、日本でも例えば僕の息子、娘世代の30歳前半ぐらいでいうと、クルマに限らずモノはカッコよければ買います。極端に言うとiPhoneだろうがアンドロイドだろうがカッコよくて性能がよければどちらでもいい。

小沢 分かります。こちらがビックリするほど思い込みがないですよね。それからカムリは日本ではすでにハイブリッド専用車になっています。セダンってことを気にしなければ、売れる要素はそろっている。

全長×全幅×全高は4885×1840×1445mmで、ワイド&ローになった新型「カムリ」

勝又 後は僕らも社内でビックリするんですが「セダンってなんだと思う?」と聞くと「プリウスですよね?」とか「まあ、プリウスみたいな」という返事が返ってくる。

小沢 ええ? トヨタ社員なのにプリウスをセダンだと思ってる? ハッチバックなのに。

勝又 もちろん王道のハッチバックとは言い難いんですが、少なくともセダンじゃない。ともかくその程度の認識なんです。40代に入ると子ども時代にオヤジさんがセダンに乗っていてある程度は分かっているんですが、そこから先はミニバンが当たり前になって知識が停止している。ディーラーの若いメカニックですら「セダンって後席広いんですよね」とわけの分からないコメントが返ってきたり。小学生の子にクルマの絵を描かせるとみんなミニバンになるという。

小沢 トヨタの若い社員がセダンを知らない。それはそれで別の意味で衝撃的だ(笑)。

トヨタの勝又正人チーフエンジニア

■セダンのトランクは金庫代わり

勝又 それから今回の新型カムリのキャッチコピーとして「セダンの復権」と言いましたが、正確には「セダンの再認識」であり、新たな創造なんです。何よりセダンをカテゴリーとして見ると全然終わってない。終わってないどころかアドバンテージすらある。物理現象として見ると、重心の高いミニバンやSUVより走れば楽しいのは決まっていて、誰だってレーシングカーとしてSUVは使わないわけですから。その点、セダンは重心が低く、路面に吸いつくように楽しく走れます。

小沢 セダンが有利なのが自明の理であると。確かにその通りです。

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